笑って泣いて感動して、の一大娯楽作! 完璧じゃないですか。
ラストのフラダンス、とくに
蒼井優さんのソロ演技の素晴らしさには大感動!!フラダンスで、ぞくぞくするほど、泣けるほど、感動するなんて!
いままで蒼井優さんの映画は観たことがなかったが、俄然、注目!
フラダンスの先生役の松雪泰子さんもいいし、蒼井優さんの親友役の徳永えりさんもいいし、子持ちダンサーの池津祥子さんもいいし…ちょっと不安だった、お笑いの南海キャンディーズしずちゃんも、うまくハマってた。なにしろ、
みんな、いいのだよ!この映画、すすめてくれたSさんには大感謝です。
舞台は昭和40年、福島県いわき市。人員削減に追いこまれた炭鉱会社は、温泉を利用したレジャー施設「
常磐ハワイアンセンター」の建設を始める。炭鉱町の娘たちをフラダンスのダンサーとして出演させるため、東京からSKD(松竹歌劇団)に所属していたダンサーを先生として招き、特訓が始まった…。
観るまで知らなかったが、この映画、常磐ハワイアンセンター誕生の話でもある。その名前は、聞いたことがあった。(現在は「スパリゾートハワイアンズ」というらしい。)
そうか、
こういう経緯で作られたのか、という興味も持ちながら、映画を楽しんだ。
泣かせるのは、多くが「別れ」のシーンだ。
その「別れ」ひとつひとつの場面において、これでもかこれでもか、と涙腺を刺激してくるのには参った。
う、やられた!という、上手い、上手すぎる展開が、ぎゅうぎゅう詰めなのだ。
こらえきれず、涙が、だあだあと頬を伝いましたよ。嗚咽しそうで体が震えた。やばかったー。
昔ながらの炭鉱中心の暮らしに固執して、フラダンスを頑張る娘の蒼井優さんを応援できずにいた母親(富司純子)が、だんだんと変わっていくところも感動的。
この母親が、ある場面に遭遇するのだが、私はここで、てっきり、彼女がハワイアンセンター側の味方につくだろうと思っていた。ところが、そうではないのだ。まだまだ、なのだった。ここは、決して安易に流れない、リアルな脚本だなあと感心してしまった。
その後、母親は思いがけず、娘の練習を見ることになる。たぶん、初めて、娘の真剣な練習姿を目の前にする。たっぷりと。
時代の変化を受け止めて、前に進まなければいけない。この映画は、そうした前向きのパワーも溢れている。
斜陽の炭鉱の町を舞台にした映画では、たとえば「ブラス!」はブラスバンド、「リトル・ダンサー」はバレエ、「遠い空の向こうに」はロケット。みんな何かに熱中して感動を呼ぶ。
厳しい生活環境の中で、一所懸命に輝く「生」というのは、絵になるんだね。
親友のくれた花飾り、男湯への乱入、サングラスの贈り物、駅での愛のフラダンス…
断片的に思い出すだけでも感動してしまう。よく出来てると思う。
思い出して書いているだけでも泣けてくる。
ちょっと(すごく?)ベタで、
話も大筋は分かりきっているのだけど、それでも感動させてくれる、とっても素敵な愛すべき逸品。
人を楽しませたり笑わせたり泣かせたりする映画は、偉大です。
去年の「ALWAYS
三丁目の夕日」と同じように、賞レースでは上位をとるでしょう。
アカデミー賞の外国語映画賞の日本代表にもなりました。最終候補まで、そして、あわよくば受賞まで…行けたらいいな。
こんな私の解説などは必要なしに、
ぜひ、観てほしい映画です。