もう、やめてくれ〜。
ほんとに、そう思った。
映画の終盤は泣かせる場面の連続で、しかし、涙の洪水から逃れるすべはなかった。
…とはいえ、気持ちよかった。そんなふうに泣けたことが。最近、泣ける映画が好みなのかも。
この映画は
小泉今日子さんが出ているから観たのであって、こんなに泣かせる映画だとは知らなかった。
泣かせるストーリーに、最後は、じんわり心に染み入る名曲「涙そうそう」の歌が重なって、駄目押しの涙腺KO状態。こんなの卑怯だぞ。
私はあとで知ったのだが、「涙そうそう」が何を歌った曲かを知れば、この物語の展開は読めてしまいそうである。
映画を観たあと、「涙そうそう」の歌詞をネットで探して読んだら、また、泣けた。
NHKの朝ドラ「ちゅらさん」で私はお馴染みになった、平良とみさんが「おばあ(=おばあちゃん)」の役で、カオル(長澤まさみ)との「泣かせる」会話。
締めくくりに用意された「泣かせる」出来事。
「泣かせる」主題歌。
泣くなっちゅうほうが無理さあ。
それにしても、長澤まさみさんは素敵だった。19歳という
年相応の正統派女優というべきか。素直で伸びやかな演技で、とても好感がもてる。
私は彼女のことを少し前まで、ほとんど見たことがなかったが、最近バラエティ番組で時々顔を見かけ、ドラマ「セーラー服と機関銃」(これも小泉今日子さんが出ているから見たわけだが)で見た。
「さんまのまんま」では明石家さんまが番組中ずっと、「かわいいな〜」と連発していたが、その気持ちも分かる。実際、可愛いもん。
この映画の脚本は、泣かせるように持っていくのに少々都合がいい展開だけれど、長澤まさみと妻夫木聡という、
みずみずしいコンビの魅力で、そのあたりはカバーしている。
この2人、吉永小百合と浜田光夫とか、山口百恵と三浦友和みたいにコンビで何作か作ればいいのに。
(まったくの余談だが、上映前に「どろろ」の予告編があって、妻夫木くんが主演である。快作となるか、ヘンな映画となるのか。彼の演じる百鬼丸は、どんなものだろうか?)
兄ィニィ(にぃにぃ=おにいさん)と別れる場面での、長澤さんの告白には参りました。
あの言葉(すごく大切な言葉ですが、ネタばれなので、ここには書きません)を、あんなに爽やかに、さらりと言ってしまうなんて、信じられません。
爽やか、可愛い、愛らしい。なんて素敵なんだろう。あの場面は素晴らしかったなあ。
妻夫木くんの彼女役の麻生久美子さん(小泉さん主演作の「風花」にも出ておりました)も、ドラマを上手に支えている。
そもそものお目当てだったはずの
小泉さんはといえば、ほんのちょっとしか出てこなかった。小さな子どもを残して、すぐに死んじゃうお母さん。働いてたかと思えば、いきなり入院してて死にそうだし。話の展開が速いよ。
すべての出番を足しても、1分もあるだろうか。
小泉さんはあんまり見られなかったが、そのかわり、長澤まさみさんがよかったから、じゅうぶん満足。
彼女に、「兄ィニィ」と呼ばれたい。
萌えるかも。…「じぃじ」とは呼ばないでね。
斜(はす)に構えて観るより、素直に泣きましょう。