この映画は、よかった。
娘がミスコンに出るというので、家族そろってミニバスに乗って、会場へと旅をする。
その旅の中で、バラバラだった家族の絆が、ちょっぴり、まとまったかな、というくらいの、笑いあり、ほろ苦さもありの、心地よいロードムービーの佳作といえる。
家族が集まっているシーンが印象に残る。それは、家での食事の場面であり、旅先での食事の場面であり、病院で待つ場面であり、バスの中であり…。エンジンがかからなくなったバスを、みんなで押したあと、次々にバスに飛び乗っていく。先に乗っているほうは手を出して、他の家族が乗るのを助ける。
家族のつながりをテーマにした話であることの象徴のような光景に思えた。
父親(グレッグ・キニア)は、自分が考えた、勝ち組の理論体系を本にしたいと思っている。娘のミス・コンテスト出場に対しても、絶対に勝てるな?と娘に聞くくらい、「勝ち」にこだわっている。娘のオリーブ(アビゲイル・ブレスリン)が店でアイスクリームを注文すると、アイスクリームは太るんだぞ(ミスコンに出ようってのに!)、と嫌味な言葉を。
伸び伸びと育ててやろうって親じゃない。子どもにしたら、勝ち組至上主義の口うるさい親父。
息子(ポール・ダノ)なんて、家族を嫌ってパイロットになる夢が叶うまで、口をきかない誓いをたてているくらい。
ヘロイン中毒で、猥談、エロ雑誌好き(!)な、おじいちゃんには、「暗くなるまで待って」(1967年)、「クルーゾー警部」(1968年)などのアラン・アーキン。いいですねー。
おじいちゃん、もちろん孫は可愛い。彼女がミスコンで披露するダンスの手ほどきをしている。
お母さんのシェリル役が、トニ・コレット。いいですねー!
彼女は存在そのものが素晴らしい女優さん。先日観た「connie&carla コニー&カーラ」(2004年)でもよかったし、ほんの端役の「めぐりあう時間たち」(2002年)でも光ってました。他にも「シックス・センス」(1999年)など、いろいろありますが。
シェリルの兄(スティーブ・カレル)は、ゲイで自殺未遂したプルースト研究家。疎外感が共通しているのか、わりと息子と意気投合気味なのが面白い。さえない感じが非常によろしい。
といった、6人の旅。お話とキャラクターの勝利、つまり脚本がいいわけですね。
家族の話だけど、説教くさくならないし、あったかい気持ちにさせる。
勝ち組じゃない家族だから応援したくなる。
ただねえ、遮断機を車で破壊していくのは、よくないことと思うぞ! そのことは注意しときます。(笑)
調べてみたら、9歳の娘役アビゲイル・ブレスリンは、「サイン」(2002年)に出演している。メル・ギブソンの娘のボー役ですよ! ボー。(私?)(ちがうよ。)
この「リトル・ミス・サンシャイン」ではファットスーツを着ていたのだそうで、とすると、実際は、もっとスマートなのか。
ミス・カリフォルニア役はアジア人っぽいので、観ていて好感度アップだったが、ローレン・シオハマという人が演じているようで、日系の女優さんだ!
東京国際映画祭では、観客賞、監督賞、主演女優賞(アビゲイル・ブレスリン)を受賞。
誰が主演で誰が助演、というのが区別しにくい映画ではあるが、子役に主演女優賞というのが微笑ましい。
やるね、東京国際映画祭!