どろろ

監督 塩田明彦
出演 妻夫木聡  柴咲コウ  中井貴一  瑛太  原田美枝子  中村嘉葎雄  原田芳雄  土屋アンナ  杉本哲太  麻生久美子  劇団ひとり
原作 手塚治虫
脚本 NAKA雅MURA  塩田明彦
撮影 柴主高秀
音楽 安川午朗  福岡ユタカ
2007年作品 138分
評価☆☆☆


戦乱の世が続く、ある国。武将の醍醐景光は、天下を治めるために妖しの力を借りようとした。
魔物は見返りとして景光の子の身体を求める。景光は、これから生まれてくる我が子の48箇所を与えることを約束してしまう。
手足も何もなく生まれてきた子は川に捨てられるが、ひとりの呪医師(のろいいし)に拾い上げられた。呪医師は、赤ん坊の損なわれた身体の部分を作ってやる。
百鬼丸と名付けられた子は、やがて成長し、育ての親の呪医師が亡くなると旅に出る。彼は魔物たちと戦い、失われた身体の部分を1つずつ取り戻していく。
孤児で盗人のどろろは、百鬼丸の腕についている刀に目をつけ、旅の道連れになる…。

手塚治虫の漫画が原作。私が読んだことのある手塚漫画のひとつだ。
魔物に取られた身体の部分を取り返すために戦うというクールな設定と、両腕が刀である百鬼丸のビジュアルに、子どもの頃、強い印象を受けた。
実写版で映画化、しかも、どろろを柴咲コウさんが演じるというので、どうなることかと思っていた。
どろろは原作では子どもなので、柴咲さんのイメージではない。
お客を呼ぶために大人の人気俳優を起用したのかどうか、そのあたりは分からない。
映画は原作とは違うから、まあ、いいといえばいいのだが、やはり、もう少し年齢が下の子役にしてほしかった。
だいたい、柴咲さんくらい成長(?)していては、男のふりをしている、というのに無理がある。
柴咲さんは、頑張ってハジケて、役になりきって見せているので、好感は持てるけど。
どろろが大人なぶん、恋愛感情的な部分は、自然に進展していたふうではある。

思ったより特撮がすごいと感じなかったのが物足りない。「HERO」「LOVERS」のアクション監督チン・シウトンが担当したというが、それほどのものだっただろうか。
中盤で魔物退治の場面を、かなり、まとめて紹介してしまうのも、もったいないというか、あっけないというか。
亡くなった子どもたちの念が集まったお化けが、着ぐるみみたいな造型でチャチなのがガッカリ。なんだか古臭い子どもだまし感の安っぽさが。
総制作費20億円以上というが、どこにそんな金をかけたのか。(こちらに20万円くらい、くれないものか。あ、無理?)

妻夫木くんは、まあまあ、いいけれど、百鬼丸は、もっとニヒルな俳優さんに演じてほしかった。彼だと、どうしても、ふと、人なつっこさというか、いい人さというか、それが見えてしまうのだ。
百鬼丸は、とことんニヒルなはず。身体じゅうが作り物の偽物というのだから、ふつうの精神状態じゃいられないでしょう。
すごく人間らしい、どろろと出会ったとしても、そう簡単には、人間は変わらない。
まだまだ甘いです。

主役2人の頑張りもあって退屈はしなかったが、とりたてていうほどのものもなかった。
ニュージーランド・ロケを行なっているが、日本では、ああいうふうな場所は見つからないのかなあ?

ラストは「残り24箇所」と出たから、すると…続編ありですか? 商売うまいね。




〔2007年2月10日(土) 有楽座〕


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