陰陽師


監督 滝田洋二郎
出演 野村萬斎  伊藤英明  真田広之  小泉今日子  夏川結衣  柄本明  今井絵理子
原作 夢枕獏
2001年 “陰陽師”製作委員会/東北新社、TBS、電通、角川書店、東宝作品
ブルーリボン賞…主演男優賞受賞
毎日映画コンクール…録音賞(小野寺修、柿沢潔)受賞
日本アカデミー賞…録音・新人俳優(野村萬斎)賞受賞
評価☆☆☆★

小泉さんが出るからというので観に行った。
他には、野村萬斎という人が安倍清明を演じることしか知らなかった。
期待してなかったぶん、よけい面白かった。(関係者の方々、すいません)

原作者の夢枕獏さんが、映画化の際には、ぜひ萬斎さんに主役を、と思っていたのも納得。
妖怪・怨霊の念の渦巻く平安時代。特殊な妖術を使って人々を手玉にとり、飄々(ひょうひょう)と世をわたっていくカリスマともいえる人物を、野村萬斎さんは、楽しげに演じている
映画俳優ではなく、狂言師である萬斎さんの起用は、見事に当たりだと思う。他の人では出せない持ち味を楽しむことができた。最近テレビドラマには出ていたようだが、私はそういうものは、めったに見ないので、萬斎さんを見たのは今回が初めてだった。

同じく、伊藤英明さんも私は見たことがなかった。
彼は2枚目半的な役。最初は安倍清明の術に面食らいながら、だんだんと、お互いにかけがえのない友人となっていく。

真田広之さんは最近ほんとにたくさんの映画に出ているイメージがあるが、この映画では、どっしり構えていて風格さえ漂って見えた。安心して観ていられる。悪役は珍しいらしいけれど、こちらも楽しそうだ。「おのれ、清明〜」とCMでも吠えてましたね。

小泉さん。映画の初めに登場してきて、儀式で何か怪しげなものを食べる。そして時代は一気に飛んで…って、そんな! それじゃ、このあとの彼女の出番はないのかっ!!
そんなこと、あるわけないでしょう?
彼女はとっても重要な役なのでした。よろしい。余は満足じゃ。

今井絵理子さんは、蝶の精霊なので、あんまり言葉のバリエーションがない。「おぬしは良い男だ」が決め台詞。まっすぐ目を見つめられて、そう言われてみたい気もする(うーん、我ながら節操がないのう…)。

そして、この映画のもうけ役は、夏川結衣さんだろう。帝(みかど)(これが岸部一徳さん。何となくぴったりで、どことなくおかしい)のご寵愛が離れてしまい、ついには怨みを持つようになる女性を演じる。その悲しい宿命が涙を誘う、おいしい役どころだ。

脚本に夢枕さん自身も参加した、野村VS真田の陰陽師対決をメインにしたストーリーは、すっきりはっきりしているので、気軽に楽しむには、ぴったりの映画だと思う。
〔2001年10月13日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕



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