ゴー、スパイディ!(行けえー、スパイダーマン!)
いやー、楽しみな映画シリーズのうちでも、とくに楽しみですよね、スパイダーマン!
スパイダーマンであるピーターは、恋人MJ(メリー・ジェーン)には正体を知られてしまったし、友人ハリーにも同じく。
正体がばれるかどうかという点でのスリルはなくなったから、今度は恋人関係の邪魔をするのは何だろう、と思いつつ、さあ、第3部。
今回の敵は、ニュー・ゴブリン、サンドマン、ヴェノム。
最初のバトル、対ニュー・ゴブリンの場面は、夜のシーンで暗くて分かりにくい。夜の戦闘場面が見にくい、というのは、別の映画でも何回も書いたことだが、実際、もったいないと思うのだ。すごい戦いのシーンを作っても、観客がよく分からない、というのは。それとも分からないのは私だけなのだろうか。鳥目?(笑)
アクションシーンは、すごいと思う。前作からも進化しているだろう。
ただ、ハリーの状況(詳しくは書かないが、彼に起きる身体的、精神的な出来事、彼の行動)については、少し都合がいい展開のようにも思えた。他にも、ヴェノムがどうして、ちょうどあの場所にやってきたのかとか、都合のよすぎるところが目についてしまったのは、やはり「スパイダーマン2」の感動に比べると、いまひとつの面があったからか。どうしても、前作以上を期待してしまうから。
映画の内容を心の底から受け入れられれば、都合のいい展開でも気にならないものだが、そこまでは行かなかったのだ。
「スパイダーマン」には、期待度を大きくして観たいと思うから、これは仕方ないですね。
また、ピーターのことを親の仇(かたき)だと思い込む親友ハリー、という上手な設定を、どう動かすのか。今回の決着のつけ方は、妥当といえば妥当、もう少し何とか変えてほしかったといえば、そうでもある。
メインの話のひとつが、スパイダーマンのブラックスーツ。
黒いだけあって(?)、心の闇、悪い心が増幅される。
このときのピーターが面白い。街中を、かっこつけながら歩いて、女性たちに引かれてしまっている。(引かれるというのは、魅せられるのではなくて、文字通り「引かれる」のです。)
こういうあたりとか、ピーターがレストランでプロポーズしようとする場面など、サム・ライミ監督が「ダークマン」などで見せていた「おふざけ」系の味が出ているような気がする。ちょっと、くだけてみました、みたいな。
MJをおびやかす恋のライバル(?)として、グウェン・ステイシー(ブライス・ダラス・ハワード)嬢が登場。出番は少ないものの、印象には残る。
彼女も危険な目に遭う。それがスパイダーマンに助けられて、仲良くなる近道だったりして?(笑)
狙って、危険な目に遭うことはできないけど。
ピーターとグウェンとの仲良しシーンを見たメリー・ジェーンが、ピーターにぶつけた言葉には、はっとした。
そう、私も第1部の、キスの名シーンを思い出したのだ。こういうところの女性の心理は大切にしなければいけません。
終盤、MJが歌う曲を聞いて、私は喜んだの喜ばないの!(「『喜んだの喜ばないの』って、喜んだの?喜ばないの?」という形の問題は「クイズ
タイムショック」で、よく出ていた。…まったく関係ない話だが。)
彼女が歌ったのは“I'm Thru With Love”(恋の終わり)。これは、マリリン・モンローさんが「お熱いのがお好き」(1959年)で歌った曲のひとつなのだ。名曲です。
失恋の歌を、なぜMJが歌ったのかを考えると…よく分からない。(3回目の「笑」)
じつは、何の意味もないかもしれない。
全体を見れば、これだけ盛り沢山のストーリーを入れながら、ピーターとメリー・ジェーンの関係を最後まで軸にしきって見せたのは素晴らしい。
やっぱり、このシリーズは、この2人を見たいわけですからねえ。
とはいえ、期待が大きかった分、きびしいけれど、星は3つ半に。
パート4、ぜひ同じキャストと監督で作ってほしいです! 誰かが飽きたなんて言う前に、さっさと作ってしまったら、どうでしょう?