理解不能。
リンチ監督の劇場用映画の前作「マルホランド・ドライブ」(2001年)では、かなりの部分で、話は分かったのに、今回は、よく分かりません!
監督自身も、撮っている間は、どんな映画か分からないといっていたようなので、観てるほうが分からなくても当然か?
でも、分からない映画は、いい映画なのか? それは疑問。感覚にガシガシと響いてくるという以前に、脳がシャットアウトしてしまったかも。
2度ほど、スピーカーからの突然の大きな音で、睡魔が一時退散。もしかしたら少し寝てた時間があったかもしれない。目が覚めたところから見続けても、見逃した箇所があることには、いっこうに気づかないだろう。
それほどに、イメージ奔放、悪く言えば「ワケわかんねー」映像体験である。
タイトル通り「内なる世界の帝国」(南カリフォルニア州の地域名からとったタイトル名でもあるらしい)、精神世界の想像力が生んだ創造力。
自分の好き勝手に撮った作品が、世間に理解できなくても、それが許されるのが、リンチ監督である。
女優と男優による映画台本の読み合わせの場面などは、「マルホランド・ドライブ」を思わせるシチュエーションだったりしたが、リンチ監督も多少は意識していたか? お遊びとして。
3匹のウサギさんも、ナオミ・ワッツ(声のみ)、ローラ・ハリング、スコット・コフィで、「マルホ」出演組である。このウサギさんドラマは、リンチ監督のサイト用に制作されていたとか(“Rabbits” 2002年)。
テレビバラエティの司会者として、ダイアン・ラッドが出演している。彼女は主演のローラ・ダーンの実の母親。母娘共演だ。
そして、ラッドの役名は、マリリン・レヴィンズだ! しかも、金髪。マリリン・モンローさんが老けたら、こんなふうに…ちょっと勘弁してほしいな。と考えてしまいました。すいません、ラッドさん。
マリリンと名づけたことは、どうしたってマリリン・モンローさんを意識したんでしょ、リンチ監督? 白状しなさい。
話題になっているのが、裕木奈江が出ていること。
終盤、ホームレスっぽい役だが、かなり多くのセリフがある。たどたどしい話し方と、気弱そうというのか、独特の表情が妙にリンチ映画に合っていて、よかった。エンドロールでは彼女の名前は、NAEとのみ表記されていた。
もともとは、以前にもリンチ作品に出たことのあるローラ・ダーンが、また一緒に何かやりたいね、ということで、リンチ監督が14ページの脚本を書き、自分のサイト用に70分の映像を作り、そこに、だんだんと撮り重ねていったものだという。
脚本を書いては撮り、の繰り返しの機動性を支えたのが、SONYのDVカムコーダーPD-150だった、というのは、なんだか嬉しい話。
フィルムでなくデジタルビデオで撮った映像なのだ。
リンチ監督、もうフィルムでは撮らないとか。よっぽど気にいったんですね、DVカム。スタッフが少なくてすみ、早く撮れ、撮り直しがきく。画像は、ちょっと粗いけど。
ゲストスターのうち、ナスターシャ・キンスキーは、どこに出てたんだろう。ラストかな?
ウィリアム・H・メイシーは、すぐに分かった。マイケル・パレは分からず。
面白いんだか何だかさえ感じないままなのは、ちょっと悔しい。
2度目を観るかどうか…もう少しは何か感じられるなら、いいんだけど。どうしようかなあ。
初日初回、1時間前に行ったのに、並んで30分。恵比寿ガーデンシネマでしか上映していないせいもあるだろうけど、また並ぶのはイヤだしねえ。