キサラギ

監督 佐藤祐市
出演 小栗旬  ユースケ・サンタマリア  小出恵介  塚地武雅  香川照之  酒井香奈子  宍戸錠
撮影 川村明弘
音楽 佐藤直紀
編集 田口拓也
2007年作品 108分
評価☆☆☆★



毎月1日は映画サービスデーで、入場料が1000円。土日しか映画を観に行けない私としては、1日が土曜日なのは活用したい。1000円で観られるのに、前売券を使って映画を観るのは、もったいない。
ということで観てきました、前売券を持っていない映画で、さまざまなところの人気ランキングで1位、2位と評判の「キサラギ」。

「ブラック・スネーク・モーン」も観たいなと、少し迷ったのだけど。
この映画、以前に予告編や雑誌での紹介を見ていたので、5人のファンが集まった場で、亡くなったアイドルの死の真相が明らかになっていく、という話であることは知っていた。
上映前の予告編が1本終わり、次も予告編かと思って観ていたら、どうやらこれは映画本編だと気づいた。(笑)

主な出演者5人の中では、小栗旬と小出恵介の違いをよく認識していなかったので、どっちがどっちか観ている間は分からなかった。2人、イメージ的に、わりと似てるし。
マイナーなアイドル・如月ミキが自殺してから、ちょうど1年後に集まった、ファンサイトでの知り合い5人。彼女を偲ぶオフ会だ。
楽しく進行していた会が、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)の、ミキは殺されたんだ、という発言から急転。
あの日、本当は何が起きたのかを、5人の会話劇で推理していく。

すでに、いろんなブログなどで言われているように、アメリカ映画の「十二人の怒れる男」(1957年)、それに触発されて三谷幸喜が書いた舞台劇「12人の優しい日本人」(1990年。映画版は1991年、中原俊監督)の、2本の作品を思い起こさせる。どちらも、一室の中だけで行われる裁判劇(正確には陪審員たちの会話劇)だ。
「キサラギ」は裁判の話ではないが、アイドルの死の真相を突き止めていくという点では、裁判劇にも近い。
コメディ調なところは、シリアスな「十二人の怒れる男」よりは「12人の優しい日本人」だ。
「キサラギ」が気にいった方は、もし観ていなかったら、「12人の優しい日本人」、さらには「十二人の怒れる男」もチェックしてみるといいと思う。

お互いがネット上での名前しか知らない、というネット世界の特異な状況が生きている。
新たな事実が次から次へと現れてくる面白さ。
四転五転する推理。

伏線を張った脚本は、しっかり考えられている。
基本はコメディながら、終盤にはファンあってのアイドルという展開で、泣ける一面も味わわせてくれる。

個人的なことを言えば、私も小泉今日子さんがアイドル時代にラジオ番組を担当していた頃、毎週のようにハガキを出していた。
もはや何を書いていたかも覚えていないが、こういうファンがいることを知ってもらって、ハガキを楽しんでもらって、喜んでもらって、もしかして少しでも励みになればいいかなあと、そして、私も彼女の歌に、いつも元気をもらっていますよ、とも伝えたかったのだ。
そんな意味でも、他人事でもなく、親しみがわく話。(笑)

最後の、如月ミキのイベントでの歌の場面も、すごく楽しかったが、そのあと、宍戸錠の場面は要らなかったかもしれない。意味が分かりにくかったし。宍戸「錠」=鍵(カギ)、そのための道具、だよね?




〔2007年9月1日(土) シネ・リーブル池袋 1〕


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