G O

監督 行定勲
主演 窪塚洋介  柴咲コウ  山崎努  細山田隆人  大竹しのぶ  山本太郎  萩原聖人 キム・ミン  ミョン・ケナム
原作 金城一紀
脚本 宮藤官九郎
2001年 「GO」製作委員会、東映、STARMAX、テレビ東京、東映ビデオ、TOKYO FM 作品 122分
ブルーリボン賞…監督・助演男優(山崎努)・新人(柴咲コウ)賞受賞
報知映画賞…作品・主演男優・助演男優(山崎努)・助演女優(柴咲コウ)賞受賞
毎日映画コンクール…脚本賞受賞
日本映画批評家大賞…監督・主演男優・助演男優(山本太郎)・新人(柴咲コウ)賞受賞
スポニチグランプリ…新人賞(窪塚洋介、柴咲コウ)受賞
キネマ旬報…2001年度邦画ベスト1
日本アカデミー賞…監督・主演男優・助演男優(山崎努)・助演女優(柴咲コウ)・脚本・撮影(柳島克己)・照明(高屋齋)・編集(今井剛)・新人俳優(窪塚洋介、柴咲コウ)賞受賞
文化庁優秀映画賞受賞
評価☆☆☆☆★

とにかく気持ちのいい映画だった。在日韓国人という問題を真正面から見据えながら、そのハードルを乗り越えて、前へ前へ行きたい、行こうとする姿勢に、最初から最後まで引き込まれる。まさに「GO」の意志に貫かれているのだ。

映画の製作発表で、主演の窪塚洋介という人が、直木賞をとり評判になった原作を映画化するについて何分間も自分の考えを話した、というニュースを聞いた。ただ偉そうなだけのヤツなのか、それとも、すごいヤツなのか、名前だけは記憶に残った。
テレビドラマをほとんど見ず、邦画も滅多に観ない私は、その時は、窪塚洋介のことも、「GO」がどんな話なのかも恥ずかしながら知らなかったのだ。

そして、映画について何の知識も持たないままに、スクリーンの前にすわった。
窪塚洋介の存在感は圧倒的だった。とんがっていても、弱気になっても、そこには激しい『生』があった。自分で選んだわけではない、「日本人ではない名前」という荷物を背負いながら生きていることの厳しさ。人の内面とは関係ないはずの「名前」。その名前だけで人を判断し差別してしまう人間というものが、まだまだいるのだ。

彼の恋人を演じるのが柴咲コウ。もしも彼女以外の女優が相手役だったら、はたして窪塚洋介のパワーを受け止められただろうか、と考えてしまう。けっして演技で対抗している感じはしない。自然なのだ。だが、この映画での窪塚洋介が惚れるのは、彼女をおいて他はない、と私は勝手に言ってしまおう。
前半のスピーディで切れのいい展開は、観ていて気持ちがいいが、恋愛モードが混じっていく後半も、彼女のおかげで、まったく調子は落ちないのだ。

重いテーマを根底に抱えているのだが、全体としては、人と人との関係性を経験していく、青春の成長物語である。
映画の中では、ひとまずの結末を迎えたところで、その後をも、ずっと見守りたい、と思った。

この映画は、韓国でも同時上映されたという。韓国の人たちが、日本人が主役を演じた在日韓国人についての映画という点を、どのように受け止めたのか、映画の意志からすれば、これもつまらない問題だが、一応は知りたいところだ。
〔2001年10月28日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕



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