ヘアスプレー

HAIRSPRAY
振付・監督 アダム・シャンクマン
出演 ニッキー・ブロンスキー  ジョン・トラボルタ  ミシェル・ファイファー  クリストファー・ウォーケン  クイーン・ラティファ  ザック・エフロン  アマンダ・バインズ  ブリタニー・スノウ  ジェームズ・マーズデン  イライジャ・ケリー  アリソン・ジャネイ  テイラー・パークス  ポール・ドゥーリー  ジェリー・スティラー
脚本 レスリー・ディクソン
オリジナル脚本 ジョン・ウォーターズ  マーク・オドネル
撮影 ボジャン・バゼリ
編集 マイケル・トロニック
音楽 マーク・シェイマン
2007年 アメリカ作品 116分
ブロードキャスト映画批評家協会賞…アンサンブル演技・若手女優賞(ニッキー・ブロンスキー)
評価☆☆☆☆


こんなに前向き、ポジティブ・パワー大爆発のミュージカル映画は、私が知る限りでは他にないかも。
能天気、陽気という面では、本作と同じくジョン・トラボルタが出演している「グリース」を思い出すが。

映画が始まって、すぐに流れてくる1曲目から、私は、この前向きパワーや、あふれる楽しさに直面して、うれしさと感動のあまり涙をダーダーと、こぼしていた。
知っている曲がないから、乗れないかもしれないと多少は思ったが、それは要らない心配だった。
楽しい! うれしい!
人をハッピーにさせるミュージカルを狙ったなら、本作は、ものの見事に大成功といえる。

もちろん、現実ではない。
テレビのオーディションに、これほど簡単に合格することは難しいだろうし(しかも、容姿がイマイチな太めの女の子だ)、人種差別のデモに白人で1人だけ加わったりするのも気軽にはできないこと。
ラストの大団円(?)も、番組司会者の力が強すぎる。普通ならプロデューサーやスポンサーの意向のほうが勝つだろう。
自分が信じるなら、やるんだ! という父親も単純すぎる。

…だけど、いいのだ。映画だから。
こうであってほしい、こうなったら素晴らしいだろうなあ、と観客は、うれしくなる。幸せになる。夢を見る。映画の中で理想を体験させてもらう。
そして、映画の描いたことが人々の心に残り、それが現実の方向に少しでも働いたなら。
それは何と幸せなことだろう。

…などと難しいことを言わなくても、この映画の楽しさは満点
オーディションで選ばれたという主役のニッキー・ブロンスキーの歌もイケる。
超おデブな母親に扮したトラボルタは、歌うと、やはり彼の地声が出る(「グリース」などで聞いているから分かるのだけど)が、彼だと知らずに観たら、最後まで誰なのか分からなかったと思う。
エンドロールで、おデブお母さんの姿とともに「ジョン・トラボルタ」の名前が出る。ここで、「ええーーっ! そうだったのかあ!」と驚いてみたかった。

ミシェル・ファイファーが出ていることは、観るまで知らなかった。
あれ、ミシェルみたいだなー、やっぱり、そうだぞ、と私は喜んだものである。
彼女も歌はうまいのだ。「グリース2」(1982年)に出ていたし、「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989年)でも美声を披露していた。
もっと歌の場面があればよかったのになー。

お父さん役はクリストファー・ウォーケンだし、番組が黒人出演者になる「ブラック・デー」のDJ役はクイーン・ラティファ。
強力なスターで周囲を固めているわけだが、私が注目したのは、主役の女の子の親友役を演じたアマンダ・バインズ。(下の方に写真あり。)
ちょっと調べたところでは、13歳の頃から、自身のテレビショーを持っていたという。すごい。「恋するマンハッタン」のホリー役でも人気だったとは、テレビドラマに疎(うと)い私は、知るよしもなかった…。

監督のアダム・シャンクマン。まったく知らなかったが、こちらも調べてみると、ダンサーから振付師、そして映画監督になった人。
この「ヘアスプレー」では、振付も担当している。

で、ある意味、いちばん驚いたのが、番組司会者を演じたジェームズ・マーズデン
んー、聞いたことはある名前だなあ…と思ってたが。
映画を観終わって、帰宅して、ネットの記事を見て初めて気がついた。
「X-MEN」シリーズのサイクロップスだよ!
ミュージカル番組の司会者と、まーーったく、結びつかない。
そもそもサイクロップスが地味すぎたんだよな…とブツブツ。

…ともあれ、最高級に楽しくなれるミュージカル。
観ながら踊りたかったよ。
楽しくて、うれし泣きすぎた。




〔2007年10月20日(土) 丸の内ピカデリー1〕


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