ニコール出ずっぱり!
これは彼女のファンなら、うれしいこと間違いなしだと思うぞ。それは私か。
4度目のリメイクというから「おいおい!」とツッコミたくなるが、演じるのがニコールなら、それも許す!
原作はジャック・フィニイの「盗まれた街」。
ジャック・フィニイといえば、以前「マリオンの壁」という小説を読んだことがあり、そのときに、このSF映画の原作者でもあることをコメントで教えてもらったのだった。
映画化は「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(1956年、ドン・シーゲル監督)、「SF/ボディ・スナッチャー」(1978年、フィリップ・カウフマン監督、ドナルド・サザーランド主演、2007年版にも出ているヴェロニカ・カートライトが、これにも出演している!)、「ボディ・スナッチャーズ」(1993年、アベル・フェラーラ監督)、そして本作となる。
はじめの2作は原題が“INVASION OF THE BODY SNATCHERS”で、4回目のリメイクの今回は、OF THE BODY SNATCHERSの字が取られて、単純にTHE INVASION(侵略)のみになった。
宇宙から来た生命体に侵されていく人類。
外見は普通な、変形ゾンビのごとき感染者の魔手から、息子と自分を守るニコール。
街を歩くときは、感情を隠すこと。でなければ奴らに見つかってしまう。
スリリングですね、設定が。普通に見える人々が恐ろしい敵とは。誰が敵なのか、一見は分からない。
彼女と協力する医師が、ジェームズ・ボンド、いや違った、ダニエル・クレイグ。ここではボンドじゃないから、かっこよく危機を乗り越えられるかどうかは、はなはだ不安である。
そういえば、主演の子役の名前はジャクソン・ボンド。本名がボンドである子どもと、役名としてボンドの名も持つ男の、豪華共演だ。(?)
ニコールは、監督が「es[エス]」(2001年)、「ヒトラー〜最期の12日間〜」(2004年)のオリバー・ヒルシュビーゲルだから、本作への出演を決めたのではないかなあ、などとも推測するが、その監督自身は、どうやら製作会社のワーナーと、もめたらしい。
ヒルシュビーゲルがワーナーの追加撮影要求を拒否したため、その部分は、なんと、「マトリックス」シリーズなどのウォシャウスキー兄弟が手がけ、さらにストーリー変更があり、今度は「Vフォー・ヴェンデッタ」のジェームズ・マクティーグ監督が担当したのだという。(eiga.comの記事による。)
思うに、ラストのカーチェイスあたりが追加なのではないか。ハリウッドらしい派手な見せ場、ということで。
しかし、自分の都合でドイツから監督を呼んでおきながら、気にいらないと口を出すハリウッドって、やっぱりビジネスライク。作品の中身より、客が呼べるかどうかを重視しがちなわけだ。
そんな内幕は別として、私はこの映画、楽しめた。
息子を守って戦いながら、追われるサスペンス。眠ったら発症するというサスペンス。
感染者たちの世界は、戦争がない平和な世界だという。
だったら、それもいいのではないか。
ニコールは息子の命を守るために戦ったが、そうでなければ、感染者の世界に加わることも考えたのではなかろうか。
人間であるということは、争いもある世界、ということ。この問題提起には考えさせられる。