ブレイブ ワン

THE BRAVE ONE
監督 ニール・ジョーダン
出演 ジョディ・フォスター  テレンス・ハワード  メアリー・スティーンバージェン  ニッキー・カット  ジェーン・アダムス  ゴードン・マクドナルド  ゾーイ・クラヴィッツ  ナヴィーン・アンドリュース
脚本 ロデリック・テイラー  ブルース・A・テイラー  シンシア・モート
撮影 フィリップ・ルースロ
編集 トニー・ローソン
音楽 ダリオ・マリアネッリ
2007年 アメリカ・オーストラリア作品 122分
評価☆☆☆★


あなたは自分に向けられた暴力に、どう対するか
そして、それが暴力を受けて生き残った後の自分だったら?

ジョディ・フォスターが、そんなタフな役に挑戦。
見応えがあった。

暴漢たちに襲われて恋人は死亡、自分も重傷を負ったエリカ。(いまどきエリカというと、別なほうに考えが行きがちだけど…。)
護身用に拳銃を手に入れた彼女だが、コンビニで買い物中、殺人を目撃し、悪いことに犯人に見られてしまう。
銃をかまえて彼女を追う男。そのとき、エリカの決断は…。

自分の身に危険が及んだら、相手を殺しても許されるのか。殺す権利はあるのか。
完全に悪意を持った殺人者に対してなら、自分を守るのは正当防衛になるはず。
たとえば、それが脅しだけであって、本当に自分に危険が及ぶかどうかは相手の考え次第でもあり、だが、それを見極めるのは、とても困難だろう。
また、相手を殺さなくても、怪我をさせるだけにして危険を逃れる、という選択もあるはずだが、それはそれで、そこまで冷静にできるものかどうか…。
難しい問題だ。

自分の身を守るのに銃を使う。そうせざるをえないような社会。
エリカは闇で銃を手に入れたが、需要があるから、このように売れるのだ。
銃という恐ろしいモノを考えついたのは、いったい誰なんだろう。

エリカがラジオのパーソナリティーという設定もよかった。
詩のような文章を朗読するジョディ。さすがに、うまい。
事件から生還した彼女は、ラジオで自分の心情を吐露してしまう。
それを刑事がカーラジオで聴いている…。

犯人は現場に戻る、というけれど、それも、うまく使っている。
それで、エリカと刑事が初めて出会うのだ。

エリカと、隣人の女性との心の触れ合いも効いている。
エリカが人を殺した、と話したとき、隣人の女性は、どう対応したか…。

銃で復讐を考えること、やられたらやり返すこと、力で対処することを、現在のアメリカの世界に対する姿勢、と深読みすることは不要だろう。
エリカは、このように行動した。エリカと親しくなっていった刑事は、彼女の行動を知り、このように行動した。あなただったら、どうするか、どうしたいか。それが、この映画なのだ。
私だったら…。

ひとつ、字幕で気になったのは、「ナニー」という言葉。これ、「乳母」ではいけないのだろうか。
シャレじゃないけど、「ナニー」って何〜? ということにならないか。
私が観た回は、紙っぺらを配って、映画についてのアンケートがあったのだが、そのことを書くのを忘れた!

監督について触れておきたい。ニール・ジョーダンだ。「狼の血族」(1984年。テレビで観たが、ユニークなホラーファンタジーで好みだった)、「クライング・ゲーム」(1992年)、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(1994年)、「ことの終わり」(1999年)など、私にとっては興味を引かれる作品がいっぱいある監督だ。そういえば「プルートで朝食を」(2005年)をまだ観ていない…。
本作も、ジョディ・フォスター演じるエリカの心理を、過不足なく描き出している。

エンディングは、とても人間くさいというか、エモーショナル(感情的)というか
ただ、あそこまでやらなくてもいいんじゃないかと。刑事さん、痛い思いをする必要、あったのだろうか?
DVDになったとき、エンディングの別バージョンがあるかも?

エリカの婚約者の役に、単純に白人を選ばず、インド系?だったところに、ジョディ・フォスターのインテリというか、私は人種差別はしないわ、という意思を感じたねえ。それこそ深読み?




〔2007年10月28日(日) サロンパス ルーブル丸の内〕


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