ボーン・アルティメイタム

THE BOURNE ULTIMATUM
監督 ポール・グリーングラス
出演 マット・デイモン  ジョアン・アレン  ジュリア・スタイルズ  デヴィッド・ストラザーン  パディ・コンシダイン  エドガー・ラミレス  ジョーイ・アンサー  コリン・スティントン  アルバート・フィニー  スコット・グレン
原作 ロバート・ラドラム
脚本 トニー・ギルロイ  スコット・Z・バーンズ  ジョージ・ノルフィ
撮影 オリヴァー・ウッド
編集 クリストファー・ラウズ
音楽 ジョン・パウエル
2007年 アメリカ作品 115分
ナショナル・ボード・オブ・レビュー…トップ10
アメリカ映画俳優組合賞…スタント賞
エンパイア(映画雑誌)映画賞…作品賞
アカデミー賞…編集・音響編集・音響調整賞
英国アカデミー賞…音響賞
評価☆☆☆★


本作で第3作目となる「ジェイソン・ボーン・シリーズ」。
スパイアクション映画として、立派に名を残すシリーズになったのではないだろうか。

記憶をなくしたボーンが、CIAでの自分の過去の秘密に迫る。
アルティメイタムとは「最後通告」。最後の決戦に挑むボーン。
CIAの新しい作戦を取材する新聞記者ロスに接触するボーンだが、すでにロスはCIAにマークされていた。
ロスの命が危ないと知ったボーンは、ロスを誘導しながらCIAの追跡をかわそうとする。
この攻防が、ドキドキワクワク、すごく緊迫感があって、おもしろすぎるほど、おもしろい!
CIAの科学技術を駆使した追跡を、知力をはじめとするスパイとしての能力を存分にボーンが発揮して逃げ切れるのか。

ひとつ、引っ掛かったのは、ボーンがロスと連絡を取る手段について、あんなに都合良く準備できるか?という点。(ネタばれしたくないので、分かりにくい表現になってしまうが。)

この新聞記者がらみの場面だけでも、すごいと思うのだが、さらに、まだまだ、追跡・逃走劇あり、カーチェイスあり、殴り合いありの、相手の裏はかきまくるわで、退屈しない
監督は前作と同じで、短いカット割りを重ねて、たたみかけていく手法と、カメラぶれの臨場感は相変わらず、どころか、エスカレートしているようだ。

私が、もっとも驚いたシーンは、映画の中盤に現われる。
前作のラストシーンが、なんと! 本作と、こんなふうにつながるなんて!
私は、こんな工夫には、過去に観た映画の中で出合った記憶はない。
もちろん、続編でなければ使えない手だが、一体これは、前作を作ったときから考えてあったのだろうか、それとも、後から、いいこと思いついたとばかりのナイスアイデアか。
頭のいい脚本に感心する。

ボーン抹殺に躍起になる上司と対立する、CIAの職員パメラ・ランディ(ジョアン・アレン)の存在が利いている。
悪者ばかりいるような印象に取られがちな組織内の「良心」を代表し、CIAの評判が落ちるのを防いでいる。(半分冗談。)
3部作すべてを通じて、ボーンと関わるCIA支局員ニッキー・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)は、今回、もっとも活躍した感がある。
ボーンとの昔の関係がどんなものだったのか、なにやらありそうですね。
ボーンの姿と、テレビニュースを見るニッキーの姿を、交互に見せるラストも印象的。上手い。

ただ、これはどうなのかと引っ掛かった場面を、先にあげた点に加えて、さらに言えば…。
まず、ボーンが、どうやって○○○に侵入できたのか。これは謎ですねえ。
そして、カーチェイスで少なくとも2度は普通なら死ぬかケガするだろうというところを、平気でいること。「ダイ・ハード」じゃないんだから、これはスーパーマンすぎるのではないかと思った。
カーチェイスに強すぎるボーン。カーチェイスならボーンにおまかせ。
知恵を使ったリアルさと、屈強なスーパーマンという嘘っぽさを両立させようという狙いなのだろうか。両方の、いいとこ取りで面白くなるのは分かるが、スーパーマンぶりが、少し行きすぎているのではないかと感じた。




〔2007年11月18日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕


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