第1作目は、チケットをもらったので観に行って、なかなかいいじゃんと思った。
今回の続編は初めは、あまり観る気がなかったけれども、あの登場人物たちがどうなるのかな、という興味が多少わいてきて、とうとう観に行ってしまった。
日劇1という大きな劇場で上映だから、人気のほどが分かろうというもの。
まず開巻そうそう、え、これは一体?と驚いた。
東宝映画の大スターがゲスト出演、大暴れだ。
こういう遊びは楽しい。
お話は、相変わらず2つの家族が中心。
売れない作家と小学生の息子の家。そこへ本当の父親(だっけ? もう細かい人間関係忘れた!)がやってきて、息子をきちんと大学まで行かせられないなら引き取る、という。
演じる小日向文世、いろんなところで見るので飽きるが(1月からのテレビドラマでは主役までやるという)、イヤミではあっても、彼の考え方も理解できる。つまり、嫌われ役であっても、悪いヤツではないのだ、この映画の主な登場人物は。
作家は奮起、芥川賞を狙って小説を書き始める。
他の賞にチャレンジしないのは、まだ他の賞がなかったのか、芥川賞の賞金が高かったのか、それは私には、さっぱりわからない!(賞、あ、違った、笑)
加えて、作家には、離れていった彼女がいる。彼女との仲がどうなっていくのかも、映画の見どころ。
もうひとつの家族は、夫婦と小学生の息子、住み込みで働く女の子の4人。(上の画像)
そこでは、親戚の小学生の女の子を、しばらく預かることになる。
私が本作で、いちばんよかったと思うのは、この家の息子、一平(小清水一揮)だ。
見知らぬ親戚の子、美加(小池彩夢)が一緒に暮らすと聞いて、嫌がったりしていたのが、だんだん彼女を好きになってしまい…という今回の役柄。
ユーモラスに茶化すような発言で周囲を笑わせることが多く、生き生きしている。
何かの記事で読んだところ、小清水くんは、本当に彩夢ちゃんを好きになったらしく、それが自然に、いい演技になった。
美加が一家と別れていく場面は素晴らしかった。美加とトモエ(薬師丸ひろ子)のやり取りは感動的だし、美加と一平のやり取りは微笑ましい。
別れというのは、どんな小さなものでも、少なからず、いつも胸がチクンとしてしまう。
離れてしまうと、どうしても忘れたり疎遠になってしまうものだが、美加と一平は、どうなるのだろうねえ。
主な登場人物それぞれに、エピソードがあり、話がいろいろな方向に行く。
昔の恋人に偶然出会ったりするのは、ちょっと都合がいい話っぽかったり、同窓会で会った昔の戦友との話は、何だか不思議なものだったり。
そんなエピソードたちを散漫と思わず、おもしろく見て、楽しめばいいのだろう。
この映画、あたたかい人情にひたればいいのだ。
世の中、金じゃない、といっても、この映画の主役である住人たちは、あることで金の力を使おうとする。
だが、それも他人を思いやる気持ちからなのだ。
金の力を使おうとして、それが失敗かと思われたとき、しかし、映画はそこでは終わらない。最終的には、
人情、思いやり、愛>金
なのだった。
寅さんシリーズなき今、このシリーズを続けたらどうか、という声もあるようだが、旅に出ることで、さまざまな話を作ることができそうな寅さんと違って、「三丁目」はシリーズ化できるだろうか。
シリーズ化されたら、気分としては私はあまり観たくない。私は、寅さんシリーズはワンパターンのベタベタな印象があって好きではないのだが、それと同じようになったら嫌だし。