スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

監督 ティム・バートン
出演 ジョニー・デップ  ヘレナ・ボナム=カーター  アラン・リックマン  ティモシー・スポール  サシャ・バロン・コーエン  エド・サンダース  ジェイミー・キャンベル・バウアー  ローラ・ミシェル・ケリー  ジェーン・ワイズナー
原作 スティーヴン・ソンドハイム  ヒュー・ウィーラー
脚本 ジョン・ローガン
撮影 ダリウス・ウォルスキー
編集 クリス・レベンゾン
音楽 スティーヴン・ソンドハイム
2007年 アメリカ作品 117分
ゴールデングローブ賞…作品・主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
アカデミー賞…美術賞
サターン賞…ホラー作品・衣装デザイン賞
評価☆☆★


期待はずれ。
バートン=デップのコンビだから期待しすぎなのかもしれないが、ただ原作をこなしていった、だけのような印象を受けた。
舞台版よりも、いくらか曲数は少ないようだが、その歌にしても魅力なし。メロディが難しく、なじみにくい。覚えてほしい、口ずさんでほしいとは考えていないように思う。
もっとも、口ずさんでほしいようなタイプのミュージカルではないといえば、それまでの話だが。

デップをはじめ、俳優たちの歌は思った以上にうまくて感心はする。
でも、まったく心に響いてこないのは何だろう。曲が好みでない、というのも大きいはずだ。
好きでない場合の例に漏れず、メロディを1曲も覚えていない。

オープニングクレジットで、血が上から下へ流れていくところは、私の大好きな映画「吸血鬼」(1967年、ロマン・ポランスキー監督)を思いださせて、よしよし、と喜んでいたのだが。
(スウィーニー・トッドは、そういえば、ある意味では吸血鬼かもしれない。)

憎しみを抱えて街に戻ってきた男。
その胸には復讐あるのみ、ということになってしまう、考えてみれば哀しい人間だ。
出会ったパイ店の女は彼に好意をもって、その協力者になる。

どちらが速く、きれいに仕上げるか、という「ひげそり競争」でジョニデと対戦したのが、サシャ・バロン・コーエン。
「ボラット」(2006年)という映画の主演で話題になったのは知っていた。わざと相手の嫌がることをしてトラブルを起こすような映画(私が相手だったら絶対に怒るだろうな)らしい。
そんな変な映画を作った男が、一応まともな芝居をしていたのは意外というか、ほほう、と思った。
彼はオーディションで「屋根の上のヴァイオリン弾き」を全曲歌いまくったとかいう話だが、審査するほうにしても、そんなに多くの時間をとったのだろうか。歌ったにしても、さわりだけか?

床屋は、復讐する前に、いつのまにか単なる狂った殺人者になっている。
つまりは、もはや普通ではないのだ。
理不尽な殺人の結果は、悲しく惨めなものに終わる。それを示したことは価値があるだろう。




〔2008年1月26日(土) 丸の内ピカデリー2〕


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