ライラの冒険 黄金の羅針盤

THE GOLDEN COMPASS
脚本・監督 クリス・ワイツ
出演 ダコタ・ブルー・リチャーズ  ニコール・キッドマン  サム・エリオット  エヴァ・グリーン  ダニエル・クレイグ  ベン・ウォーカー
撮影 ヘンリー・グラハム
編集 アン・V・コーツ  ピーター・ホーネス  ケヴィン・テント
音楽 アレクサンドル・デプラ
2007年 アメリカ作品 112分
アカデミー賞…視覚効果賞
英国アカデミー賞…特殊視覚効果賞
全米美術組合賞…美術賞(ファンタジー部門)
アカデミー賞…視覚効果賞
英国アカデミー賞…特殊視覚効果賞
評価☆☆☆


フィリップ・プルマンの原作は3部作で、この「黄金の羅針盤」が第1作。
映画の初めにも説明が出るが、1作目は私たちの世界と似ているけれど違うパラレルワールド(平行世界)での話、2作目(「神秘の短剣」)では人間世界へ、3作目(「琥珀の望遠鏡」)ではお互いの世界を行き来する(?)らしい。

パラレルワールドの住人たちは、魂を体の外側に持っている。それは動物や昆虫の姿をしていて、ダイモンと呼ばれる。
映画を観る前から、このダイモンがいちばんの楽しみだった。

なにしろ、さまざまな種類のダイモンがいて、しかも、子どものうちは姿が定まらずに、いろいろ変身しちゃうのだ。
ひとりにつき、ひとつのダイモンがいるから、大勢の人が画面に出ているときの、にぎやかさといったら! 人口密度が、ふつうの2倍!(あ、ダイモンは人じゃないし、小さいものが多いけどね。)
ダイモンのすべての映像がコンピューターで作り出されている。(これを「CG」ともいうが。)
その動きを見ているだけで楽しい。とくに、ニャンコ系。
ダイモン同士がケンカして、一方が苦しめられていると、そのダイモンとつながっている人も同じように苦しむ。運命共同体。
また、人と、そのダイモンは、話もできる。

ふと思ったのが、ダイモン(DAEMON)はデーモン(DEMON=鬼、悪魔)と関係があるのではないか、ということだ。
人とは別の姿の存在だけど、一体であり、魂であり、守護精霊でもあるダイモン。それは人間の、もうひとつの面と言えないだろうか。鬼にも悪魔にもなりうるもの…? なんてね。

ライラを演じるのは1万5千人以上のオーディションから選ばれた、ダコタ・ブルー・リチャーズ。等身大の少女で、少しおてんばで、勇敢で、まっすぐな気性のライラは好感度あり。
コールター夫人役のニコール・キッドマンも(相変わらず)いい。(そう思うのは、ファンだからかもしれないけど。)悪役っぽく謎めいたキャラクターもグッド。彼女のダイモンであるお猿さんもいい。ダイモンって、つながっている人の性格を反映しているから、ダイモンを観察することで、その人のことも、なんとなく想像できるのが面白い。
原作者がニコールの出演を望んだそうで、望まれたニコールは嬉しかったことでしょう。

ただし、映画としては2時間内に詰め込んだせいなのか、もともとなのか、お話の展開がサクサクと進んでしまって、頭の中をスウーッと流れていくだけで、面白さを感じるツボにハマらないのだ。
わくわくできない。いろんな映画を観てきて、すれっからしになった私のせいなのかと思ったりするが。

ライラが、あの時点で羅針盤を渡された、その意図がよく分からなかった。説明不足なのか。
友人を救うために研究所に乗り込むのだが、その研究所の場面になると、妙にSF映画っぽく感じられたり。
よろいグマさんも、鼻のあたりが、のぺっとしているというかデカイのが、ちょっと好みでなかった。(「よけいなお世話だ」よろいグマより。)
ジプシャンって何だ。エジプシャンでなくて? ジプシーか。放浪民? なんて思ったり。まあ、これはいいんだけど。知らない世界の話だからね。
ラストの戦いにしても、都合よく助っ人が来たりするし、定番すぎないか。

となると、よかったのは、ダイモンとニコールとダコタ、ということ?
つまらなくは、なかったが、もう少し楽しみたかった。
1作目の評判がよくないと、続編の製作はないかもしれないという噂が。続きは観たいよ〜。

よろいグマのイオレク・バーニソンの声は、イアン・マッケラン。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでのガンダルフとか、「X-MEN」のマグニートーとか、人間以外でも大活躍ですね!
ダコタちゃんのダイモン、パンタライモンの声はフレディ・ハイモア。彼の声は出番が多かったし、よく合っていたと思う。
ダニエル・クレイグのダイモン、ステルマリアの声は、クリスティン・スコット・トーマス。サム・エリオットのダイモン、へスターの声はキャシー・ベイツ。ニコールのダイモン、ゴールデン・モンキーは…しゃべらなかった。




〔2008年3月2日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕


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