フィリップ・プルマンの原作は3部作で、この「黄金の羅針盤」が第1作。
映画の初めにも説明が出るが、1作目は私たちの世界と似ているけれど違うパラレルワールド(平行世界)での話、2作目(「神秘の短剣」)では人間世界へ、3作目(「琥珀の望遠鏡」)ではお互いの世界を行き来する(?)らしい。
パラレルワールドの住人たちは、魂を体の外側に持っている。それは動物や昆虫の姿をしていて、ダイモンと呼ばれる。
映画を観る前から、このダイモンがいちばんの楽しみだった。
なにしろ、さまざまな種類のダイモンがいて、しかも、子どものうちは姿が定まらずに、いろいろ変身しちゃうのだ。
ひとりにつき、ひとつのダイモンがいるから、大勢の人が画面に出ているときの、にぎやかさといったら! 人口密度が、ふつうの2倍!(あ、ダイモンは人じゃないし、小さいものが多いけどね。)
ダイモンのすべての映像がコンピューターで作り出されている。(これを「CG」ともいうが。)
その動きを見ているだけで楽しい。とくに、ニャンコ系。
ダイモン同士がケンカして、一方が苦しめられていると、そのダイモンとつながっている人も同じように苦しむ。運命共同体。
また、人と、そのダイモンは、話もできる。
ふと思ったのが、ダイモン(DAEMON)はデーモン(DEMON=鬼、悪魔)と関係があるのではないか、ということだ。
人とは別の姿の存在だけど、一体であり、魂であり、守護精霊でもあるダイモン。それは人間の、もうひとつの面と言えないだろうか。鬼にも悪魔にもなりうるもの…? なんてね。
ライラを演じるのは1万5千人以上のオーディションから選ばれた、ダコタ・ブルー・リチャーズ。等身大の少女で、少しおてんばで、勇敢で、まっすぐな気性のライラは好感度あり。
コールター夫人役のニコール・キッドマンも(相変わらず)いい。(そう思うのは、ファンだからかもしれないけど。)悪役っぽく謎めいたキャラクターもグッド。彼女のダイモンであるお猿さんもいい。ダイモンって、つながっている人の性格を反映しているから、ダイモンを観察することで、その人のことも、なんとなく想像できるのが面白い。
原作者がニコールの出演を望んだそうで、望まれたニコールは嬉しかったことでしょう。
ただし、映画としては2時間内に詰め込んだせいなのか、もともとなのか、お話の展開がサクサクと進んでしまって、頭の中をスウーッと流れていくだけで、面白さを感じるツボにハマらないのだ。
わくわくできない。いろんな映画を観てきて、すれっからしになった私のせいなのかと思ったりするが。
ライラが、あの時点で羅針盤を渡された、その意図がよく分からなかった。説明不足なのか。
友人を救うために研究所に乗り込むのだが、その研究所の場面になると、妙にSF映画っぽく感じられたり。
よろいグマさんも、鼻のあたりが、のぺっとしているというかデカイのが、ちょっと好みでなかった。(「よけいなお世話だ」よろいグマより。)
ジプシャンって何だ。エジプシャンでなくて? ジプシーか。放浪民? なんて思ったり。まあ、これはいいんだけど。知らない世界の話だからね。
ラストの戦いにしても、都合よく助っ人が来たりするし、定番すぎないか。
となると、よかったのは、ダイモンとニコールとダコタ、ということ?
つまらなくは、なかったが、もう少し楽しみたかった。
1作目の評判がよくないと、続編の製作はないかもしれないという噂が。続きは観たいよ〜。
よろいグマのイオレク・バーニソンの声は、イアン・マッケラン。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでのガンダルフとか、「X-MEN」のマグニートーとか、人間以外でも大活躍ですね!
ダコタちゃんのダイモン、パンタライモンの声はフレディ・ハイモア。彼の声は出番が多かったし、よく合っていたと思う。
ダニエル・クレイグのダイモン、ステルマリアの声は、クリスティン・スコット・トーマス。サム・エリオットのダイモン、へスターの声はキャシー・ベイツ。ニコールのダイモン、ゴールデン・モンキーは…しゃべらなかった。