港の町、守加護(すかご)。クラブの支配人の備後(妻夫木聡)は、ギャングのボスである手塩(西田敏行)の情婦マリ(深津絵里)に手を出した。
それがばれてしまい、ボスの手下たちは備後とマリの逢引き現場に乗り込む。備後発見! ビンゴ!
殺されそうになる2人だが、ボスがデラ富樫という殺し屋を捜しているのを知った備後は、とっさにデラは知人なので連れてくる、と嘘を言う。
命をながらえた備後たちだが、デラ富樫は知り合いでもなんでもない。
困った備後は、映画の撮影に見せかけて、売れない俳優の村田(佐藤浩市)に、デラ富樫を演じてもらおうとする…。
三谷幸喜監督のコメディ。三谷さんらしいといっていいのか、よく知らないが、ほのぼの系で、じつに、まっとうな感じ。(というのが正しい表現か分からないが。)
自分は映画でデラを演じていると信じ込んでいる村田と、彼がデラだと思っているギャングたちとの「すれ違い」の笑い。
その間で右往左往する備後たち。
たしかに、おかしくて声を出して笑えたところもあった。映画への愛も感じる。
だけど…ゆるい、というか、平板というか、だらんと続くというか。もう少しピシッピシッとしたところが欲しい。
まったりしちゃって、あとに印象に残ることがないような…。
女優陣の魅力が弱いのもある。深津絵里さんは、まったく私のタイプじゃないし(個人的な問題だが)、綾瀬はるかさんは、そもそも出番が少ない。
印象からすれば、戸田恵子さんのほうが、よっぽど大。いいとこ取り。
といっても、戸田さんがしょっちゅう衣装替え、早替わりまでしていたことには、映画鑑賞後に雑誌で読むまで気づかなかった…。
劇中映画も「カサブランカ」のパロディっぽく、それでもいいけど平凡。
監督が語る元ネタは、このページ(http://www.varietyjapan.com/interview/2k1u7d000002xqd0.html)を(ページが存在する限り)参考に見てもらうとして…。(監督が語っていた中で、私が一番笑えたのは、伊吹吾郎=グルミット、というところ。)
ビリー・ワイルダー監督好きの三谷さんがお好きで、マリリンが出演している映画「お熱いのがお好き」のパロディもあるか?と思って観ていたが、似ているのは、すかご(シカゴ)の町のギャングが出てくることくらいか。
西田さんなどは、「お熱いのがお好き」に出てくるギャング、スパッツ・コロンボみたいに、スパッツはいてたっけ?(注意して見てなかった。)
「完璧な人間はいない」の名ゼリフは出てきましたね。
柳沢愼一のガンさばきは素晴らしかった。
市川崑監督のゲスト出演(出演作として遺作になるのか!?)も見逃せない。「黒い101人の女」なんて映画、検索しそうになった…というのは嘘。2002年に小泉今日子さんが出たドラマ「黒い十人の女」を見て、そのオリジナルの映画も見ていたから。
パーツパーツは、いろいろと面白くて悪くないんだけど、まとまって後で振り返ってみると、私にとっては優等生過ぎるのか記憶に残らず、まあまあか、というくらいの印象なんだよねえ。