スピード・レーサー

SPEED RACER
脚本・監督 アンディ・ウォシャウスキー  ラリー・ウォシャウスキー
出演 エミール・ハーシュ  クリスティーナ・リッチ  マシュー・フォックス  スーザン・サランドン  ジョン・グッドマン  ポーリー・リット  キック・ガリー  ロジャー・アラム  RAIN  真田広之  リチャード・ラウンドツリー  スコット・ポーター  アリエル・ウィンター
キャラクター創造 吉田竜夫
撮影 デヴィッド・タッターサル
編集 ザック・ステーンバーグ  ロジャー・バートン
音楽 マイケル・ジアッキーノ
2008年作品 135分
評価☆☆☆☆★


これは完璧でしょう。
原作は、漫画。アニメ。そこを忘れちゃいけない。
漫画アニメを、映画が表現しうる最大限・最高の映像にした、といえるのではないか。

レースシーンの破天荒な面白さは文句なし。
なんだこれは、と思うような変なレースのコースだって、漫画なんだから、何だっていいのだ。クルマが飛んだり跳ねたりするのも漫画。
レース中に、どのクルマがどうなってるのか、という点は、あまりにめまぐるしいレース展開なので、少し分からないところもあるが、これだけ楽しませてくれたら、ささいなこと、としていい。
極彩色のきらびやかさも素晴らしい。やるなら、このくらいやってくれたほうが楽しい!(漫画なんだし!)

おかしな忍者が出てきたっていいじゃないか。面白いし。
主人公の名前が、スピード・レーサーだっていいじゃないか。分かりやすいし。
カーレーサー仲間の兄の名前がテジョ・トゴカーン(演じるのはRain)で、妹の名前がハルコで、どこの国の家族なんだか分からなくたっていいじゃないか。別に。

私は、F1のレースはテレビでも見ない。レースのゲームもしない。(あるのかどうか知らないが。)
つまり、カーレースは特別に好きでもない。でも、この映画は、ものすごく楽しめた。夢のような映像だったなあ。
ドラマ部分も、ベタだが悪くない。子どもっぽいといえばいえるのかもしれないが、悪くないでしょ。一押しは映像なんだから、物語はシンプルでもいい。「シンプル・イズ・ベスト」ともいう。

ジョン・グッドマンのパパなんて、本人がアニメみたいな見かけだし、スーザン・サランドンのママの優しさもいい。
この親にして、この子あり、みたいなパパ似の幼い息子のおバカっぽさも見事に合っているし、チンパンジーとのコンビも最高。
そして! クリスティーナ・リッチ演じるトリクシー。彼女もアニメみたいにクッキリ特徴的な顔だ。子ども時代のトリクシー役の子も可愛い。

私はオリジナルの日本のアニメは、♪マッハGOGO〜という歌の部分しか知らないが、そのメロディが、きちんと取り入れられていたことも嬉しい。
エンドロールでは、その日本語の歌も少し聞こえてきた。嬉しいねえ。そこまで、この漫画が好きなんだ、監督のウォシャウスキー兄弟。

振り返ってみても、マイナス点は思いつかない。
レース中に、さまざまな過去のシーンが縦横無尽に挿入されてきたり、たまにある漫画的なギャグ場面などなどで、引いてしまう、乗れない、そんなウォシャウスキー兄弟の、やりたい放題な遊び心全開に、ついていけない人には不評だろう。
見終わって、すぐに、また観ようと決めて、前売券を買った、なんてことは、私にとっては、めったにないことだった。

映像が見ものだから、映画館で観ないことには意味がない。DVDを買ったりレンタルして見ても、いい評価は出てこないのではないかと危惧する。
そんな映画。

とにかく、痛快! 爽快! 楽しかった! 面白かった! 大満足! レースシーンのスピード感と豊かな色彩に身を任せて、楽しみましょう!




〔2008年7月5日(土) サロンパス ルーブル丸の内〕


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