1408号室

1408
監督 ミカエル・ハフストローム
出演 ジョン・キューザック  サミュエル・L・ジャクソン  メアリー・マコーマック  トニー・シャルーブ  ジャスミン・ジェシカ・アンソニー  アレクサンドラ・シルバー  レン・カリオー
原作 スティーヴン・キング
脚本 マット・グリーンバーグ  スコット・アレクサンダー  ラリー・カラゼウスキー
撮影 ブノワ・ドゥローム
編集 ピーター・ボイル
音楽 ガブリエレ・ヤーレ
2007年 アメリカ作品 104分
ファジル映画祭…観客賞
ヤングアーティスト賞…助演若手女優賞(ジャスミン・ジェシカ・アンソニー)
評価☆☆☆★


おもしろかった。
あるホテルの恐怖の一室での体験を、どのように見せるのかが興味深かったが、ジョン・キューザック扮する主人公の作家の精神的なところ、内面を攻めて、幻視や幻聴といった形をメインに、うまく見せていったという印象。

すぐに問題の1408号室での話になるのかと思っていたが、他のホテルでの怖い部屋取材や、書店でのサイン会などを前にもってきた。
悪魔も神も信じない作家の立場を表わし、物語に適度に肉付けした感もあって悪くない。

当初、予定されていた監督は「ホステル」シリーズのイーライ・ロスだったらしいが、血まみれ映画になるのを嫌った作者スティーヴン・キングが拒否したとか? 代わりに起用されたミカエル・ハフストロームというスウェーデン人監督は私は知らなかったが、結果的には成功だろう。

「1408号室」というのは、まことに恐ろしい部屋番号だ。縁起の悪い「13」のつく部屋番号表示を避けるホテルが多いので、「14〜」の部屋は本来の13階である場合もあり、しかも「1408」の各数字を足すと「13」と主人公も言っている!(だったら「1309号室」なんて最悪。)

ホテルの支配人サミュエル・L・ジャクソン、ほんとはキューザックに、あの部屋をどうにかしてほしかったのか。
考えを飛躍すれば、ジャクソンは神だったのかも。(!?)

1408号室に入ると、いきなり、カーペンターズの「愛のプレリュード」が流れて驚かせる。
歌詞は、We've only just begun…私たちは、いま始めたばかり…
これから恐怖が始まるぞ、という宣言だ。これはキューザックにとっては、びびり効果満点だろう。カーペンターズの優しい曲の意外さが、かえって怖い。

さっそく窓から身を乗り出したりして危ない、と思うが、かつて、こうやって死んだ者も出たんだな、と納得させる。
向かいのビルの窓の人間の一連の描写も、こんなことがあったらと思うと恐ろしいし、この距離感(?)も何だか怖い。エドガー・アラン・ポーなどにありそうな気も?
窓から脱出!のシーンも怖いし、うまい。高所恐怖症な私には…あー、思い出すのも、いやだ。

いきなり背後から襲われたら。何か狭いところを通っているときに、後ろから不気味なものに追いかけられたら。という怖さ。
ここには書かないけど、どんでん返し的なものもある、大小の、終わらない恐怖の見せ方も、うまい。

以前に、幼い娘の病死を経験している主人公の心の傷。いつの日か、その傷に立ち向かって彼女の死の全てを認めるべきところに、彼は1408号室で正面からその運命に対峙することになる。
そうすると、これは主人公の人生再生を戦うドラマでもあったか。
さて、彼の運命は…?




〔2008年11月23日(日) 渋谷東急〕


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