人生を応援してくれてる映画だなあと感じた。
ベンジャミンは、人とまったく違う人生だったけど、それでも、一所懸命生きていた。
老人のような赤ちゃんに生まれて、年々見かけが若返っていくという、ありえない設定なのは、どうしたってこれは、究極的には「人生の見かけなんか関係ない、人は与えられた情況のなかで、いかに生きるかが重要なのだ」という話に思える。書いてみれば、ありふれたことだけれど。
167分という長い映画。しかも劇的に盛り上がるポイントが少ない、こうした作品は、苦手な人もいるだろうけど、私は本作は飽きなかった。
老人のように見える子ども。老人が暮らす施設に拾われたのは幸運だった。周囲がお年寄りばかりだから、平和に過ごすことができただろう。
デイジー(子ども時代を演じるのがエル・ファニング。成長後はケイト・ブランシェット)と知り合ったベンジャミン(ブラッド・ピット)。船に乗ることになった彼は、デイジーと手紙をやりとりする約束を交わす。
寄港先での恋があったり、戦争があったり。
気がついたのは、ベンジャミンの死生観というのか、他人の死を前にしての冷静さだ。達観といってもいいだろうか。
きっと彼は老いて生まれて、何年も生きられないと言われた幼い頃から、死を身近に考えて、それが自分のものであれ他人のものであれ、静かに受け入れる心ができていたのではないか。
そんなふうに、なりたいものだ。なんとなく。
変わった男の人生を追うというと「フォレスト・ガンプ 一期一会」(1994年)を思い起こす。…と思ったら、同じ脚本家だったんですね。
ベンジャミンが子どものときは、背も小さくなっていて、映画の特撮技術には相変わらず驚かされる。
映画の最初のほうで、ベンジャミンの育ての母親クイニー(タラジ・P・ヘンソン)がいう言葉で、この映画の主張の一部ともいえそうな名言が2つあった。
英語は映画サイトの“The
Internet Movie Databese” から。訳は、だいたい、こんなところか?という意訳で。なんとなく意味が違ったら、ごめん。
You
never know what's comin' for ya.(この先、何が起きるかなんて分からないさ)
Everyone feels different about themselves one way or another, but we all
goin' the same way.(人とは違うなんて言っても、結局は同じ道を歩いてるんだよ)
人生を描いた、いい映画は、いろいろあれども、この映画も、また、そのなかの1本となった。
また、映画館で本作の予告編を少なくとも2種類見たが、とても感動的な、いい出来で、「予告編大賞」というものがあったら、あげたいものだと思っていた。
そういえば、昔どこかのテレビ局で、映画の予告編だけを集めて放送したことがあると思うが、これ、毎年やってくれないものだろうか。面白いと思うけど。みなさんで、要望の声をあげてみません?