ベンジャミン・バトン 数奇な人生

THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 ブラッド・ピット  ケイト・ブランシェット  ジュリア・オーモンド  ティルダ・スウィントン  エル・ファニング  タラジ・P・ヘンソン  ジェイソン・フレミング  ジャレッド・ハリス  イライアス・コティーズ  フォーン・A・チェンバース
原作 F・スコット・フィッツジェラルド
原案 エリック・ロス  ロビン・スウィコード
脚本 エリック・ロス
撮影 クラウディオ・ミランダ
編集 カーク・バクスター  アンガス・ウォール
音楽 アレクサンドラ・デスプラ
2008年 アメリカ作品 167分
アカデミー賞…美術監督・メイク・視覚効果賞
美術監督組合賞
オースティン映画批評家組合賞…助演女優賞(タラジ・P・ヘンソン)
英国アカデミー賞…メイクアップ&ヘア・装置・視覚効果賞
セントラルオハイオ映画批評家協会賞…作曲賞
ラスベガス映画批評家協会賞…美術・撮影・衣装賞
ロンドン映画批評家協会賞…助演女優賞(ティルダ・スウィントン)
ナショナル・ボード・オブ・レビュー…監督・脚色賞
フェニックス映画批評家協会賞…撮影・作曲賞
評価☆☆☆☆


人生を応援してくれてる映画だなあと感じた。
ベンジャミンは、人とまったく違う人生だったけど、それでも、一所懸命生きていた。

老人のような赤ちゃんに生まれて、年々見かけが若返っていくという、ありえない設定なのは、どうしたってこれは、究極的には「人生の見かけなんか関係ない、人は与えられた情況のなかで、いかに生きるかが重要なのだ」という話に思える。書いてみれば、ありふれたことだけれど。

167分という長い映画。しかも劇的に盛り上がるポイントが少ない、こうした作品は、苦手な人もいるだろうけど、私は本作は飽きなかった。
老人のように見える子ども。老人が暮らす施設に拾われたのは幸運だった。周囲がお年寄りばかりだから、平和に過ごすことができただろう。

デイジー(子ども時代を演じるのがエル・ファニング。成長後はケイト・ブランシェット)と知り合ったベンジャミン(ブラッド・ピット)。船に乗ることになった彼は、デイジーと手紙をやりとりする約束を交わす。
寄港先での恋があったり、戦争があったり。

気がついたのは、ベンジャミンの死生観というのか、他人の死を前にしての冷静さだ。達観といってもいいだろうか。
きっと彼は老いて生まれて、何年も生きられないと言われた幼い頃から、死を身近に考えて、それが自分のものであれ他人のものであれ、静かに受け入れる心ができていたのではないか。
そんなふうに、なりたいものだ。なんとなく。

変わった男の人生を追うというと「フォレスト・ガンプ 一期一会」(1994年)を思い起こす。…と思ったら、同じ脚本家だったんですね。
ベンジャミンが子どものときは、背も小さくなっていて、映画の特撮技術には相変わらず驚かされる

映画の最初のほうで、ベンジャミンの育ての母親クイニー(タラジ・P・ヘンソン)がいう言葉で、この映画の主張の一部ともいえそうな名言が2つあった。
英語は映画サイトの“The Internet Movie Databese” から。訳は、だいたい、こんなところか?という意訳で。なんとなく意味が違ったら、ごめん。
You never know what's comin' for ya.(この先、何が起きるかなんて分からないさ)
Everyone feels different about themselves one way or another, but we all goin' the same way.(人とは違うなんて言っても、結局は同じ道を歩いてるんだよ)

人生を描いた、いい映画は、いろいろあれども、この映画も、また、そのなかの1本となった。

また、映画館で本作の予告編を少なくとも2種類見たが、とても感動的な、いい出来で、「予告編大賞」というものがあったら、あげたいものだと思っていた。
そういえば、昔どこかのテレビ局で、映画の予告編だけを集めて放送したことがあると思うが、これ、毎年やってくれないものだろうか。面白いと思うけど。みなさんで、要望の声をあげてみません?




〔2009年2月22日(日) 丸の内ピカデリー2〕


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