渋い。渋いぜ、クリントじいちゃん。
そして、テレビドラマ「ローハイド」や、マカロニウエスタンでのガンマン、「ダーティハリー」シリーズでマグナム44をぶっ放す刑事役で売り出したスター、いかにも銃が似合うかのような印象のスターが選んだ、この映画の主人公のラスト。
そのラストに至るには、しかるべき理由が、いくつか提示されていた。
ネタばれになるので、くわしく書くわけにはいかないが、ある点にこだわった彼の行動から考えれば、ああなるのだろう。
クリントじいちゃんの精一杯の思いは、ジンと胸に伝わってくる。
本作への、アマ・プロ問わず批評家の、あまりの高評価に、私などは戸惑いつつ、イーストウッド神格化かと多少恐ろしいくらいにさえ思ったりして。(苦笑)
映画サイト「IMDb」で、10点満点中8.4点、「映画生活」では86点という高得点。(5月13日現在)
どこを、そこまで評価するのかが、よく分からない。いや、分かる気もするが。(どっちだ?)
好きなビールを飲みながら家の前でイスに座って悠然とするクリントおやじ。
わかりやすい話を、どっしりとかまえて演じ(というか、それがイーストウッドの素地だよね)、主役の人物の背景や心の動きもしっかり捕らえている点は、文句はない。
もっとも意外で素晴らしいのは、全体にユーモアがあること。まじめなだけじゃないんだ。
ただ、個人的な評価としては、文句はないんだけど、いいんだけど、みんながほめるほど、そこまで好みではない、というしかない。
そう、好みの問題か。私は映画の意義・主張ではなく、自分だけの好み・感覚で評価するので。へそ曲がりのせいではない(はず)。
イーストウッドの精神といっしょで(?)、多数意見に迎合などはしないぞ。(笑)
(とはいえ、「いいじゃん!」の星3つ半であって、星4つにはしない、ということですが。)
自分でしたことは、自分で決着をつける。そんな、いさぎよさと、かっこよさは、「これぞ男」な、ひとつの生きざまだろう。
グラン・トリノって何なのかと、この映画を観るまでは知らなかったけど、そういうことなのか。
主人公の象徴にもなっているね。