サンシャイン・クリーニング

SUNSHINE CLEANING
監督 クリスティン・ジェフズ
出演 エイミー・アダムス  エミリー・ブラント  ジェイソン・スペヴァック  アラン・アーキン  メアリー・リン・ライスカブ  クリフトン・コリンズ・Jr  スティーヴ・ザーン  エリック・クリスチャン・オルセン  ケヴィン・チャップマン
脚本 ミーガン・ホリー
撮影 ジョン・トゥーン
編集 ヘザー・パーソンズ
2008年 アメリカ作品 92分
評価☆☆☆★


思うようにいかなくても、人生は続く。

エイミー(・アダムス)とエミリー(・ブラント)って、名前が似た響き。
エイミー・アダムスはイニシャルがA・A、アラン・アーキンもA・A。エミリー・ブラントはE・Bで、みんなアルファベットの前のほう。(子役は別だけど。)

エイミー・アダムス嬢を愛しているので観たわけだが、ものすごく劇的な展開があるというよりは、日々の暮らしを生きる家族のスケッチ的なお話で、すうっと心にとどまる。こういうのも好き。
映画館のTOHOシネマズ シャンテでは、朝1回のみの上映になっていた。しかし1回だけでも上映が続いていたのは、まだまだ、お客さんが来るという予想があったからではないだろうか。

息子の学費を稼ぎたいシングルマザーのローズ(エイミー・アダムス)は、不倫相手の警官マック(スティーヴ・ザーン)から、事件現場の清掃はお金になると聞く。
彼女は、妹のノラ(エミリー・ブラント)を誘って、その仕事を始めるが…。

素人の2人が、商売道具のショップのオーナー(クリフトン・コリンズ・Jr)にも助けられて一人前になっていったり、親父さん(アラン・アーキン)がエビを大量に買い取って売ろうとするなど、変な商売をしようとしていたり。
ローズは高校時代はチアリーダーでアイドルのような存在だったが、いまは生活に四苦八苦のありさま。不倫相手は高校のときの彼。
ノラは定職につかず、バイトをクビになって無職だった。
そんな「追い込まれ状態」な姉妹が、新しい仕事を通して、何を発見していくのか

エイミー・アダムスの、しっかりした演技。惚れ直したよ。エミリー・ブラントもいいねえ。

おまけに。
エイミー嬢の不倫シーンで、彼女の下着姿を見られたのは、思いがけない幸せだった! イエーイ!(…おい。)

このあとはネタばれ気味になるので、これから、この映画を見ようと思う方は、ご注意ください。

ノラは清掃現場で、自殺した女性の身分証と彼女の娘であるリン(メアリー・リン・ライスカブ)の写真を見つける。ノラはリンに会って、この遺品を渡したいと思う。
そこにはノラ自身の母親との関係が、かぶっている。
ローズとノラの母親は、彼女たちが幼いころに自殺している。断たれた母と娘の、きずな。
同じように自殺した女性の、娘・リンへの思い。この写真をノラがリンに渡すことは、ノラ自身の心の瑕(きず)をいやすことと同じなのだ。母から娘への気持ちをつなぎたい。
この行為の結末は、たぶん映画が終わったあとに続く。そう思わせもする脚本は、味がある。

ローズとノラが母の死を知った場面で印象的だったのは、姉のローズが先に立っていて、彼女が姉らしい配慮を発揮して、母親の死の様子をノラに見せなかったことだ。
ノラには、ちらりとは見えても、彼女の思うようには母を見ることはできなかった。自分がしたいようにはできなかったのだ。
姉の気持ちは頭では理解できても、妹にとっては、たとえ無意識だとしても、何か引っかかるものがあったはず。

姉妹が母の姿をテレビで見るシーンは、2人が前に進むステップとして、じつに象徴的。
とくにノラにとっては、お母さんが会いにきてくれたかのようにも思えただろう。




〔2009年8月30日(日) TOHOシネマズ シャンテ〕


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