HACHI 約束の犬

HACHIKO : A DOG'S STORY
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 リチャード・ギア  ジョーン・アレン  サラ・ローマー  ケイリー=ヒロユキ・タガワ  ジェイソン・アレクサンダー  エリック・アヴァリ  ダヴァニア・マクファデン
脚本 スティーヴン・P・リンゼイ
撮影 ロン・フォーチュナト
編集 クリスティーナ・ボーデン
音楽 ジャン・A・P・カズマレック
2008年 アメリカ作品 93分
評価☆☆☆


「ハチー、ひさしぶりじゃないか」
「こんにちは。やっと会えましたね!」
「あれ、ハチー、しゃべれるのか」
「ええ、ここは天国ですから」
「そうか、いきなり私が帰れなくなったから、さみしかっただろ」
「毎日、駅で待ってましたよ〜。いつか帰ってくるんじゃないかと思って」
「すまなかったね、ハチー。おまえは素晴らしい友達だよ」

「あなたとぼくの話が映画になったんですよ!とってもハートフルな映画に。あなたを演じたのはリチャード・ギアさんです」
「ハートフルだなんて、さすがに英語がうまいなあ。あ、ギアといえば、以前にも日本の映画のリメイクに出ていたんじゃないかな」
「『Shall We Dance?』ですよね。日本と縁が深いのかもしれません。監督がラッセ・ハルストレムさんです。あったかい映画を作る人ですよねっ」
「うん、私も大好きだよ。で、ハチーの演技はどうだった? うまくやってたかい?」
「ええ、子犬のときから老犬まで、とっても上手に。犬は色をあまり認識しないとされているので、犬の視線は本当に犬が見ているように、色数を落として白黒みたいにしてました」
「そりゃすごい。まじめに作ったんだなあ」

「奥さん役はジョーン・アレンさんです。ちょっと冷たい感じですよね。ぼくを飼うことを最初は反対しますし」
「彼女のキャラだな。前にあった映画でも冷たかったじゃないか。ほら、『デス・レース』とか…ん、それだけかな? あとは覚えてないから」
「ぼくが映画で疑問だったのは、娘さん夫婦は、ぼくが家出して駅に行ったあと、フォローしなかったのかなあ、ということです。少なくともエサをやるとか何かできるんじゃないですか。ぼくが駅にいるのは知っているんですし」
「うーん、そのへんはツッコまないでくれよ。私の娘なんだし。そうだ、周りのみんながエサをあげたから、娘が面倒を見る必要はなかったのかもしれないな」
「そんなに気にしてませんから、だいじょうぶです」
「あ…、そうなんだ。ありがとう、ハチー」
「細かいこと言うと、日本語だと『ハチ』なんですよ。でも、あなたの『ハチー』にも慣れちゃいました。愛情があれば、うれしいんです」
「そうかー。アメリカ人だから発音が違うんだよね、ハチー」

「…もうひとつ、あなたが倒れるところ、いきなりすぎた気がします。その前のほうの場面では、まったく倒れる予兆がないんですよ。ぼくが嫌な予感を表してはいましたが。本当に、いきなり、その場でですよ。まあ、そういうことも人間にはあるのかなあと思いましたが」
「その点は、私も、よく分からないなあ。われながら(笑)」

「とにかく、全体的に良心的な映画になっていましたよ。最後に、本物のハチの写真も紹介されて、渋谷駅前にある銅像も映りました」
「うん、ちゃんとオリジナルに敬意を払っているんだね。偉い偉い」
「犬の演技が素晴らしいです。動物好きな方は、いやされるだろうし、最後のほうでは、帰らぬ人を待ちつづけるハチに、じーんときますよ」




〔2009年8月30日(日) 丸の内ピカデリー1〕


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