個性的なヤツらのロックンロールな生き方、おもしろかったぜ!
ちょっとエロだけど人間なら当たり前?(それでPG-12指定〔12歳未満は保護者同伴が適当〕ってわけだ。)
笑えるところも多数。
1966年、イギリス。国営のBBC放送は、ポピュラー音楽を1日45分しか放送していなかった。
そこで、イギリスの法律の範囲外である北海に浮かぶ船から1日じゅうロックを流すという、海賊ラジオ局「ラジオ・ロック」が誕生し、ファンの人気を集めていた。
ある日、高校を退学になったカール(トム・スターリッジ)が、彼の母親の旧友であり、「ラジオ・ロック」のオーナーでもあるクエンティン(ビル・ナイ)に預けられ、船に乗船してきた。
一方、政府のほうでは、ドルマンディ大臣(ケネス・ブラナー)が、“不道徳”な「ラジオ・ロック」の放送をたたきつぶそうと画策していた…。
出演は男ばかりかな、女優さんが出るとしても誰が出るのか分からない。(予備知識なし、なので。)
というのもあって、気乗りはしなかったのだが、これが観てみたら、おもしろい!
船に乗っているDJが何人もいて(考えてみれば、24時間放送だから大勢いていいよね)、みんながみんな、個性的。
フィリップ・シーモア・ホフマンなんて、まじめなインテリっぽい役ばかりやってた印象だったので、DJを演じるのに浮いてるんじゃないかと思ったら、まったくそんなことはない。ばっちり似合ってるじゃないの! さすが!
オーナーのビル・ナイは、かっこいいし、カリスマDJギャヴィン役のリス・エヴァンスも、それっぽいし。
デブっちょDJデイヴ役のニック・フロストは、スケベだが憎めないキャラクター。
静かなタイプのDJもいれば、ニュースや天気予報担当もいる。
カールの初体験騒動があったり、伯爵(ホフマン)とギャヴィンの対立や対決があったり、それぞれがDJする様子があったり、さりげない友情があったり。
個性が際立つ面々、音楽への愛情、おもしろいストーリー。(プラス、ちょっとエッチ。)
愛情を込めて、楽しんで、熱心に聴く、さまざまなファンの姿も、きちんと、とらえていて楽しかったり、ほほえましかったり、感動したり。
女性陣も、ちゃんといたよ。はじめから船に乗っている唯一の女性は、レズビアンのフェリシティ(キャサリン・パーキンソン)で、食事担当。
素敵なメンバーが、どんどん船を訪れる。
若いカールの相手になるマリアン(タルラ・ライリー。かわいい)、船上で結婚式を挙げるエレノア(ジャニュアリー・ジョーンズ。美人で好み)、デイヴのお相手デジリー(ジェマ・アータートン。最新「007」のボンドガールのひとりストロベリー・フィールズ役でした)、そしてカールの母親シャーロット(エマ・トンプソン。大物!)などなど。ちなみに、観ているときは、エマ・トンプソンだと分かりませんでした。ほとんどサングラスしていたせいもある…かな?
加えて、モテモテのギャヴィンの周りに大勢のヌード女性が! というシーンもあったぞ!(うらやましー)
カールの成長物語でもある、船の生活を描く合間に、政府の弾圧計画(ちっとも進まないけど)が挟み込まれる。
ケネス・ブラナー、憎まれ役だが、いろいろ笑えることをしてくれる。
この映画にちりばめられている、クスクスと、くすぐるような笑いって、イギリスっぽい気もする。(まったく根拠なし!)
政府、つまり「体制」側に反発するラジオ・ロックの面々は、「反体制」、つまり、ずばりロックンロールな生き方となる。
それを貫くのが、カッコイイし、熱いし、感動させるのだ。
ラストに向かっては、まったく想像しなかった展開で、泣かせる締めくくりを持ってくる。
うまい!
ちょっとベタ、出来過ぎかもしれないけどね。
でも、いいじゃない! いいよ!
さすがは「ラブ・アクチュアリー」の監督だなと思わせる、この充実した感触。
知っている曲がもっと多かったら、もっと楽しかっただろうなあ。(ビートルズは権利関係のせいなのか、流れなかったし。)
キャストのキャラクターが彩り豊かな楽しさ、何より、キャスト、たぶんスタッフも、みんなが楽しんで出来上がった雰囲気なのがいい。