男の子が、かいじゅうたちの住む島で王様になって、みんなをまとめようとするが、かいじゅうの世界にもいろんなゴタゴタがあって…。
これ、好きだなあ。
わりと映画の内容を書いていくが、ネタばれというほどの秘密でもないだろうから。
8歳の男の子マックス(マックス・レコーズ)が、ひとり遊びをし、姉の男友達と雪合戦をし、部屋で暴れ、母に反抗し、とうとう家を飛び出すまで。場面のまとめ方、ピッタリな音楽などとあいまって、マックスの感情のうねりが新鮮に伝わって、この
冒頭何分かのシーンは、とくにスピード感やパワーが素晴らしかった。
偶然、そこにあった船に乗って、かいじゅうのいる島に着く。そんなにうまく行くのは、夢か空想とみてもよさそうだ。(帰りだって、ちゃんと帰れるし。)
マックスは、家をぶっこわしている、かいじゅうキャロルを見る。
家出してきたんだから、むしゃくしゃした気分もあるはず。それでなくとも、ぶっこわすのは楽しいと感じる男の子だ。マックスはキャロルを手伝う。
でも、かいじゅうたちに食べられそうになったマックスは、とっさに自分は王様だとホラを吹いて、危機を逃れる。
かいじゅう王になった彼だが、みんなを平等に見ていないと不満を言われたり、
人間関係ならぬ、かいじゅう関係の難しさに直面してしまう。
原作はモーリス・センダックの絵本で、世界中で知られているという。
でも、この映画は子ども向けではない。ぬいぐるみみたいな、かいじゅうを見て、おもしろいと思うかもしれないが、そこまでで子どもは終わりじゃないだろうか。
実際、映画館の隣の席は外国人の家族だったけど、幼い女の子は途中で飽きて、時々お母さんとしゃべっていたし。(ちなみに、映画の途中で、英語でおしゃべりされても、あまり気にならないのは、言っている意味がわからないせいだろうか。日本語でおしゃべりされたら、うるさいなあと思うのに。)
かいじゅうとでも、やさしい心は通う。
音楽も、すごく良かった。いちいち、ピッタリとくる曲が、その場面場面で流れてくる。
マックスは、かいじゅうたちと生活して、かいじゅうたちを客観的に見ていて、なんとなく知ったはず。
他人が暴れるのは怖い。暴力はいいことじゃない。仲がよくないのは困ったことだ、などと。
上に立つもの、みんなをまとめることの苦労もわかった。
おかあさんを心配させるのはよくない、悲しませるのはよくない、とも思ったかな?
別れのシーンは泣けた。こういう、さよならの場面では必ず涙腺がゆるむ私だが、もう泣き声をあげるのを我慢して体が震えるほどに。どうしようもないねえ。
かいじゅうたちと暮らした経験は、得がたいもの。
だめ押しは、おかあさんの寝顔。息子が帰ってきて、安心したんだね。母親の愛情の大きさ、温かさに泣いた。このラストは本当に素晴らしい!