ハート・ロッカー

THE HURT LOCKER
監督 キャスリン・ビグロー
出演 ジェレミー・レナー  アンソニー・マッキー  ブライアン・ジェラティ  エヴァンジェリン・リリー  レイフ・ファインズ  ガイ・ピアース  デヴィッド・モース  クリスチャン・カマルゴ
脚本 マーク・ボール
撮影 バリー・アクロイド
編集 ボブ・ムラウスキー  クリス・イニス
音楽 マルコ・ベルトラミ  バック・サンダース
2008年 アメリカ作品 131分
好き度☆☆☆☆


この緊張感の持続は、あまり経験したことがないくらい。もう勘弁してよって言いたいほど。すごく、いい意味ですよ。

だって、これ、爆弾処理班のメンバーが主役の話。イラクで任務につくアメリカ軍兵士たちの話だ。
いつ爆弾が爆発するか分からない。周囲の民間人の中に敵がいる可能性もある。爆弾のスイッチを押したり、狙撃してきたりするかもしれないのだ。恐ろしい仕事である。
しかし戦争の、その恐怖と緊張の体験、感覚が麻薬的なものになり、戦場から離れられない中毒性を帯びる場合もあるとか。こわー。

最初に「Hurt Locker」という題名を聞いたのは、10月にホームページの掲示板で。(lalakiさん、どこ行ったんですか〜? おっしゃるとおり、価値のある作品ですね。)
ハート・ロッカー。痛いロッカー? なにそれ? と思ったものだが、これは「棺おけ」を表わす俗語?らしい。たしかに棺おけはロッカーみたいな形ですね。
戦場自体が、ハート・ロッカーのようなものでは?
しかしこれ、ただ「ハート・ロッカー」とカタカナだと、心のロッカー? 心からのロックンロール? なんてことにも。

手持ちカメラで撮り、ドキュメンタリータッチで硬派に、クールに、骨太に、押しまくる。映画の内容には合っていると思う。ズームアップが少し多いなあとは思ったが。
監督は、「ストレンジ・デイズ」(1995年)で私を「興奮のるつぼ」におとしいれてくれた、キャスリン・ビグロー女史。

多少荒っぽいところがある気もするけど、雑というのではない。
たとえば、帰国したんだ、という描写がなく、いきなり話が進んでいくところは、ちょっとびっくり。が、分かればいいよね。観客が理解できれば、おもしろいやり方だと思う。

「現場」での絶え間ない緊迫感。その合い間に、任務を終えて帰ってきたあとまで、班のメンバー3人で殴り合って遊んで(?)いる描写がある。
人間の精神が平静でいられないような、普通ではいられないような影響があるに決まってる、あんな仕事は。
そういうことを強いる戦争とは、なんと恐ろしいものであることか。人間って、なんなのだろうね。

砂漠での戦闘に某有名俳優が出演していたとは気づかなかったよ。(俳優に気づかないのは、いつものことですが。)
有名俳優といえば、冒頭にも、いらっしゃったんだね、堂々と。

緊張で、どきどきするから、心臓が弱い方は、観賞には注意したほうがいいかも。

これを書いている今も、イラクで爆発があり死者も出た、というニュースがテレビで流れている。




〔2010年3月7日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋〕


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