映画づくり大好きな男の子の夢の結晶のような映画。
主役の男の子がいい。素直な演技は好感度あり。
女の子は、エル・ファニングさんだったんだね。知らなかった。
ダコタ・ファニングさんの妹で、私は「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」で彼女を見ているが、ほんの少しの間に成長するものだ。
映画を思い返してみると、どんな事件が起きたのか、ということよりも、みんなで一緒に映画をつくっていたことが、強く記憶に残っている。
○○○の造形だったり、その他のストーリー展開については、それこそ映画の中の子どもたちが想像してつくってもいいようなもので、どんなふうでも、いっこうに構わないのだ。
この子たちの映画づくり、夢の創造が、イコール、エイブラハム監督の創造でもあるのだから。
いかにも子どもが好きそうな、ゾンビ(リビング・デッド)映画をつくっている彼ら。
エンドロールで、その全貌(笑)が見られるから、間違ってもエンドロールが始まるやいなや席を立ってはいけません。気長になりましょう。
そうすれば、子どもたち、こういう映画をつくってたのか、と分かるし、その内容に笑えるし、気持ちも、ほっこりするから。
見なかったら、大損というものである。
エンドロールには、ザ・ナックの「マイ・シャローナ」が流れる。1979年、この映画の舞台になった年の大ヒット曲。
こんなに明るくノリがよく繰り返しで親しみやすい曲って、めったにないだろう。
(シャローナという名前の人にとっては、特別な曲になっていたかもしれない…。)
私にとって素晴らしいシーンが、この映画には、あった。
男の子が持っているペンダントには、母親の写真が。それが、ある理由で「持っていかれそうに」なる。そのとき、男の子が、どうしたか。
…どっと泣いたよ、私は。素晴らしい。男の子の成長は、このひとつのことに集約されている。
グッとくる一場面がある映画が、その人にとって、心に残るものになるのだ。
監督のエイブラムスは、スピルバーグが若い頃に撮った8ミリフィルムを修復したことがある。
今回スティーヴン・スピルバーグは製作で参加しているが、以前から、いい関係だったのだろう。
そして本作、スピルバーグがつくったとしても違和感はないのである。