インシディアス

INSIDIOUS
監督 ジェームズ・ワン
出演 パトリック・ウィルソン  ローズ・バーン  リン・シェイ  バーバラ・ハーシー  タイ・シンプキンス  リー・ワネル  アンガス・サンプソン  アンドリュー・アスター
脚本 リー・ワネル
撮影 ジョン・R・レオネッティ  デヴィッド・M・ブルーワー
編集 ジェームズ・ワン カーク・モッリ
音楽 ジョセフ・ビシャラ
2011年 アメリカ作品 103分
好き度☆☆☆☆


けっこう、どきどき。お化け屋敷風な、お楽しみ。

家の中で、どこから何が出るか、どきどきしながら観ているのって、怖いけど楽しい。
もちろん、映画だから楽しいのであって、現実だったら嫌だ。

家が怖そうな映画は過去にもあった。古そうな家、大きな家、屋根裏、地下室…。怖さを生む要素。
本作の一家は、新しい生活を、大きな古そうな屋根裏のある家で始める!
案の定…。
うわあ〜!

しかし、そこにアイデアをプラスして、今までにない(のかどうか、ホラーはあまり見ないので知らないけど)展開が待っている。
なるほど、そういうふうにしていきますか。

監督・脚本は、「ソウ」を作ったコンビ。やはりユニークな面白さがある。
家の中の超常現象に対して、エキスパートが登場するのは、映画では良くある手で、私の記憶にあるところでは古くは「ヘルハウス」(1973年)などを思い出させる。

男ふたりのデコボコ・コンビが現れて(ひとりは脚本も書いているリー・ワネル。上の画像の黒ぶちメガネ)、文明の利器らしきものを使って調査したり、と思えば、ガスマスク(!?)をかぶって、あっちの世界と交信したり、「笑いと恐怖は紙一重」をしっかり実践しているあたりが好ましい。

ガスマスクは、ホースが別の人間の耳につながっていたから、(真面目に言えば)マスクをした人間の小さい声を別の人間が聞くため。(だよね?)
が、なんでガスマスク? と突っ込むべきところを、ごくごく真面目にやっているのが、なんとも面白い
しかも、書記の役(脚本家を兼ねるワネルさんですね)が、とりつかれたように文字を書きなぐっていくのも、なんだかパロディのようにも見えてきたりする。

そもそも、霊媒的役目のおばちゃん、リン・シェイさんの顔つきがいい
いかにも、なムードを盛り上げてくれる。
さらに、赤鬼みたいな恐怖の対象の存在を演じているのがジョセフ・ビシャラという人らしく、なんと、この映画の作曲担当者なのだ!
おまけで出演もしちゃった、みたいな?
いいよねえ。
妻役のローズ・バーンは怖がるさまが似合っているし、夫のお母さん役のバーバラ・ハーシーは懐かしく、お年を召しつつ、いい存在感に。

○○○の世界での、ストーリーと直接関係がなさそうな不気味な原寸人形劇っぽいあたりも、きっと「ソウ」の人形からつながるセンスなんだろうなと思うし、懐かしげな音楽がかかっている中で、いきなり、あっとビックリするビジュアルが出現したり、霊媒師たちの話を聞く夫の態度がなんとなく変だな、これは、もしかして…などと思わせたり、老婆など敵の面々(?)が怖いんだかなんだか、落ち着いて見りゃ笑えそうなあたりもいいし、いろんなところでお楽しみがある。
「怖(こわ)おもしろい」。
音で脅かすのは(少なくとも私には)1回しかなかったのも、えらい。

そして、ええっと驚くクライマックスで鮮やかに締めくくり、エンドクレジットではラストでストリングスが金切り声で叫びまくる、これぞ怖い系映画の王道音楽、堪能しました、ご馳走さま! なのだった。
グッジョブ!!

原題のinsidiousは「こうかつな、陰険な、油断のならない」といった意味のようだ。



〔2011年9月17日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋〕


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