タイタニック

TITANIC
脚本・監督 ジェームズ・キャメロン
出演 レオナルド・ディカプリオ  ケイト・ウィンスレット  グロリア・スチュアート  ビリー・ゼイン  フランシス・フィッシャー  キャシー・ベイツ  ビル・パクストン  デヴィッド・ワーナー  バーナード・ヒル  ヴィクター・ガーバー  ジョナサン・ハイド
撮影 ラッセル・カーペンター
編集 ジェームズ・キャメロン  コンラッド・バフ  リチャード・A・ハリス
音楽 ジェームズ・ホーナー
1997年 イギリス作品 189分
好き度☆☆☆☆☆


今回、映画館で観て、ほんとうに良かった! とくにIMAXでの体験は圧倒的!

IMAXという上映方式は、目の前いっぱいに画面があって、音もいいから、最良の状態で観ることができたと思う。
たとえIMAXでなくても、これは少なくとも、映画館の大きなスクリーンで観るべき映画だと確信した。
テレビの画面で見るのとストーリーは同じでも、目に入ってくる映像、音響、臨場感、迫力が違えば、心に迫ってくるものは違うのだった。
それが、映画館で映画を観る意味。
MAX、もっと安価で、多くの場所に広まってもらいたい!

3Dとしては、あっと驚くような場面はなかった。もともと3D狙いの映像としては作られていないわけだし、3D編集作業によって自然な奥行きが生まれていた…のかどうか、よく分からない。
けれど、そんなことは、どうでもいいくらい、映像と音響が素晴らしいIMAX。

今度の公開は、「3D」とタイトルをつけているけれども、映画のストーリーとしては昔と同じなので、私は単に「タイタニック」と表記することにする。

タイタニックが沈没したのが1912年4月15日。
それを教えられて、ちょうど100年後の4月15日に、この映画を観ることができた。感謝である。

私が本作を観たのは3回目だが、これまでにないほど感激した。
映像のキメの細かさも素晴らしい。画質もきれいに手を加えてある。
ケイト・ウィンスレットさんの肌なんて、もう! きれいだよ!
そのように、映像や音響でも大満足だったが、今回はドラマの部分でも大感動
涙、滂沱(ぼうだ)として止まるを得ず。

(レオナルド・ディカプリオ演じるジャックがどうなるか、ということについては、以下ネタばれしていますので、ご注意を。多くの方は知っていることかもしれませんが。)

映画を観ながら、ずっと頭にあったのは「生きること」と「死ぬこと」だった。
生きがいを見失っているローズ(ケイト・ウィンスレット)に、生きる喜び、生きる力を与えていくジャック(レオナルド・ディカプリオ)。そして彼は、最後の瞬間までローズを守る。
そのローズとジャックの「生と死」の物語に、強烈に心を打たれたのだった。

ジャックは、ポーカーで勝って、タイタニックの乗船券を手に入れた。
船の中でジャックはローズと出会う。ローズは1等船室の上流社会の人間、ジャックは3等船室。身分が違いすぎる。
だが、ジャックは、船から身を投げかけようとするローズを救う。
その救い方にしても、とても上手いのだ。彼女を変に刺激しないように「導いて」いく。
やがて、ふたりは仲を深めることになる。
会話を楽しみ、3等船室の客たちの陽気なダンスパーティーを一緒に楽しむ…。

たとえば、タイタニックが沈む瞬間にも、ジャックは、息を吸って…足を蹴って…と、ローズに「どうすべきか」を教えている。
まるで、彼女の守護天使であるかのように。最後の最後まで、ジャックはローズのそばを離れない。

ジャックはポーカーに勝って、タイタニックに乗ったことを後悔しただろうか。勝たなかったら、沈没事故に遭うこともなかったのに、と。
…いや、彼は一瞬たりとも後悔しなかっただろう。ローズに出会えたこと、最後まで、彼女のそばについていられたことを喜んでいただろう。
私はジャックの生き方がうらやましい。こんなのって、男の本望じゃないか。

せいいっぱい、そのときを生きること。
困難なときも、生きようと努力すること。
愛するものを守り抜くこと。


ローズは、ジャックのぶんまで強く生きようと思ったはずだ。
ふたりの近くを救助ボートがやってくる一連のシーン(この素晴らしい映画の中でも、完璧なところのひとつ)を見れば、ローズのそうした想いがわかる。

タイタニックは4月10日に航海に出て、14日深夜に氷山に衝突した。
ローズとジャックの関係は、長くても5日間だったのだ…。

…文字にしてみると、ひどく陳腐なのだが、それは実感したことを上手く書き表わせない私が悪いのだ。
本作の脚本を書いたのは、ジェームズ・キャメロン監督本人。まったく、なんて、すごい人なんだ。自分でタイタニック探査までしてるし。

ちなみに、映画でローズの晩年を演じたグロリア・スチュアートさんは、100歳まで生きた。
映画のなかでは、ローズ本人だとしたら100歳を超えてるぞ、などと言われる役柄だったのが、役と似たようにして、彼女自身も100歳まで生きたのだ。
それも、また、素晴らしいドラマだ。




〔2012年4月15日(日) ユナイテッド・シネマ としまえん〕


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