良心的なヒューマン・ドラマで、笑いも盛り込まれていて、とてもいい。
ジェシカ・チャステインさんの、マリリン・モンロー風キャラも愛らしい!
2時間26分もあると知って、観るのに二の足を踏んでいたが、まったく長さは感じなかった。
おもしろい。
今までは「ヘルプ!」といえば、ビートルズの映画だったが、これからは本作だ。(笑)(!マークの違いはあるが。)
作家志望のスキーター(エマ・ストーン)が、黒人のお手伝いさんに取材して本を書こうとする。
自分自身も黒人メイドに育てられた経験をもつ彼女。白人の家庭で仕事をしている黒人女性たちの本心は、どんなものなのか。
しかし、そんな証言を正直にしたら、雇い主の白人などの怒りを買って追い出されたり、ひどい目にあうのがオチ。スキーターに協力する人間は、なかなか現れない…。
スキーター役のエマ・ストーンをはじめ、メイドのエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)とミニー(オクタヴィア・スペンサー)、高慢ちきな白人女ヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)、ヒリーの元カレと一緒になったシーリア(ジェシカ・チャステイン)、ヒリーの友達エリザベス(アナ・オライリー)など、それぞれのキャラクターが生き生きとしている。(こういうのを「キャラが立ってる」「キャラ立ちしている」という。)
さらに、彼女たちの母親も、じつに味がある(アリソン・ジャネイ、シシー・スペイセク)。
そこで、はたと気づいてみると、男性陣は…スキーターの彼氏と、シーリアの夫くらいしか思い出さない。
女たちのドラマだったんだな〜。
エマ、ヴィオラ、オクタヴィアが素晴らしいのはもちろんだが、憎まれ役のブライス・ダラス・ハワードさんが、いいのだ。
ドラマは悪役が良くなければ面白くない。
彼女、こんな顔だったっけ、もっと可愛くなかった?と思うくらいだが。メイクの力?
マリリン・モンローさん(の役柄。あくまでも役柄)を思わせる、ジェシカ・チャステインさん。
外見もそうだし(顔は違うよ)、ノーテンキに明るいかと思えば、悲しむときもストレート。で、すごくいい人。
黒人差別というテーマの一方で、白人である彼女にも「差別」が向けられている。差別は黒人に対してだけじゃないんだよ、と描くバランス感覚の良さも感じる。
私はジェシカさんの映画を見るのは初めてなので、今後はちょっとフォローしてみたい。
こんなに上手な女優さんなんだね。
最後が、めでたしめでたし、で終わらないのも素晴らしい。
これが始まりで、ここから戦いが続くのだ。
押しつけがましくもなく、笑いもあって、あったかで、感動もあり、問題提起もありで、本当に上質なドラマ。
アメリカ映画の良心的な面といえるだろう。
私だったら、主演に相当する女優さん全員に主演女優賞を、助演に相当する女優さん全員に助演女優賞をあげる。
エマ・ストーンさんの声、ハスキーだなあと気づいた。
私はハスキーボイス大好き!
それでなくても可愛いし、ちりちりクセッ毛(役の上で)も可愛いし、惚れそう。
というか、惚れた。
エイビリーンが子どもに言う言葉で、"You is kind. You is smart. You is important. "(お嬢さまは優しい子、お嬢さまは賢い子、お嬢さまは大切な子)というのがあった。
このシーンだけでも泣けてしまう。
子どもには、こんなふうに、ちゃんと愛情を表現して与えることが重要なのだ。
これは1960年代、公民権運動(おおまかに言えば、黒人の権利獲得と差別撤廃を求める運動)が盛り上がりを見せてくる頃のお話。
そして今。人種差別なんて、きれいさっぱりとなくなったらいいのにね。