イン・ザ・ベッドルーム

IN THE BEDROOM
監督 トッド・フィールド
出演 トム・ウィルキンソン  シシー・スペイセク  マリサ・トメイ  ニック・スタール  ウィリアム・マポーザー  ウィリアム・ワイズ  セリア・ウェストン  カレン・アレン
原作 アンドレ・デュバス
脚色 ロブ・フェスティンガー  トッド・フィールド
2001年 アメリカ作品 131分
ゴールデン・グローブ賞…主演女優賞受賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー…監督・脚本賞受賞
全米放送映画批評家協会賞…主演女優賞受賞
ニューヨーク批評家協会賞…主演男優・主演女優・新人監督賞受賞
ロサンゼルス批評家協会賞…作品・主演女優賞受賞
インディペンデント・スピリット賞…作品・主演男優・主演女優賞受賞
ゴールデン・サテライト賞…作品(ドラマ部門)・主演女優・脚色賞受賞 他
評価☆☆☆★

上記の受賞歴を見ると、最優秀主演女優賞を、シシー・スペイセクが多くの映画賞で受賞しているのが分かる。
思い返してみる。確かに上手かった。だが、彼女にとっては普通の演技なのではないだろうか。
これまで出演した作品よりも際立っていたのだろうか。彼女の映画を全部観たわけではないが(それどころか観ていない作品のほうが圧倒的に多いだろう)、このくらいの演技は、いつもしているように思う。
張り詰めたような演技は、いつもの彼女のイメージだと思うのだが。

自分の感覚がおかしいのだろうか。どうも、受賞の基準というものは分からない。納得できる場合ももちろんあるが、そうではない場合も多い。
もちろん、いい脚本があって、その上で、いい演技をすることが、まずは賞レースに出るための条件になるだろう。いい脚本があれば、そこからは、演技者自身の頑張りだ。そして、それが批評家(信用できてもできなくても、とにかくそういう名称の人々)や観客の目に止まれば、賞にもつながっていくことになる。
また、映画が話題になる「(時の)運」はある。もしかしたら、積極的な「売りこみ」がある場合もなくはないのだろう。

こう書いていると、受賞にふさわしくない映画なのかと思われるかもしれないが、そうではない。
ただ、私にとっては、そこまでのものではないな、というだけのことなのだ。
同じ1つの映画を観ても、観る人それぞれに感じ方は違う。
賞を取った、というのは、それがふさわしいのかどうかは別として、より多くの人が注目し、かつ、そのときの映画業界の流れに合ったものなんだな、と考えればいいのかもしれない。
映画賞について、ふと考えたことが長くなった。

人それぞれの感じ方の違いを言えば、この映画は、子どもを持つ親であれば、まず実感が違うのだろう。
私が実感を持てないのは、自分が親というものではないからだ、と観ながら感じていた。
その差は、たぶん、圧倒的に大きい。
親でない身にとっては、いくら映像で迫られても、それは画面の向こうの出来事だ。「身に染みない」のだ。

子どもを失った親が苦悩の末に取る道は、衝撃的ではあるが、かといって、それほど驚くことでもない。自分も同じ立場に立ったら、心のうちでは、そうしたいと思うからだ。自分ばかりではなく、世の中の人のほとんどは、そうしたいだろう。それを実際にするかしないかの違いだ。

映画の序盤に、エビ獲りの罠の話が出る。
エビの入るところを「ベッドルーム」と言っていたので、これは何かあると思って聞いていた。
エビが2匹ならいいが、3匹入ると、ハサミが欠けたりして傷つくことがある、といったことを話した。
わざわざこんな話をするなんて、これが物語の暗示でなくて、いったい何であろうか。
その通り、話は展開するのだ。その視点から眺めると、また面白い。

監督は「ホーンティング」や「アイズ ワイド シャット」に俳優として出ていたらしい。どの人だろう?
また、息子役のニック・スタールは、「顔のない天使」で、メル・ギブソンの相手役の少年だったという。
〔2002年8月18日(日) シャンテ シネ3〕



映画感想/書くのは私だ へ        トップページへ