WOWOWで5週にわたって放送した衝撃のドラマを、国際映画祭ヴァージョンで一気に上映!
オンエア時の300分より30分短く編集したとのこと。
4時間半の長さだが、2回の休憩を挟んでくれたので、それほどつらいこともなかった。
この作品は、小泉今日子さん主演なので、テレビ放送時に見ていた。
そのときはホラー風味も感じたし、ずんと重たい内容で、さすがに湊かなえ原作、さすがに黒沢清監督だと恐れ入っていたものだ。
今回は、2度目の観賞ということもあってか、内容に対してショックな部分はなくて、なるほど、こういう演技をしているんだね、なんてことを思いながら多少は客観的に観た。
…上映サイドに、ちょっと文句を言いたいのは、なぜか音声が時々、瞬間的に消えた(!)こと。大事なセリフの部分で消えなかったから、まだいいものの、7、8回は消えたと思うぞ。
小学生のときに、友達が校内で殺されるという事件に遭遇してしまった4人の女の子と、被害者の母親の、15年後の運命を、1話完結形式で描く。
(映画祭ヴァージョンは、5回放送分を1本にまとめたものなので、1話をひとつの章として扱っている。)
5人の女優が、各章ごとに交代して主演する形で、それぞれの演技を順番に堪能できる楽しさもある。
いずれも個性を生かして、甲乙つけがたい演技合戦だ。
過去の事件が彼女たちにどんな影響を与えてきたのか、今はどのように生きているのか。そして、これから彼女たちを待ち受けているものは?
人間って、人生って…ねえ。
彼女たちの心の病み(闇)が痛々しい。
そりゃあ、10歳やそこらのときに、仲のいい友達が死んでいるところを目撃して、彼女の母親に、あんたたちを許さない、つぐないをしなさい、なんて言われたら、トラウマにもなるわな。。。
池脇千鶴さんの役柄が、そのなかでは図太くも見えるが、警察官が好き、という点においては、やはり過去の事件の影響は受けているようだった。
印象深いのは、やはりラストの驚きが強烈だった、小池栄子さんのパートだろうか。理不尽な。あまりにも悲しい…。
蒼井優さんのパートは、ある意味、あれが彼女のスタートラインとも言えるのではないか。ようやく人生が始まったかのような。
安藤サクラさんは、特異な存在感(?)の怪演!
小泉さんは、そこまでのドラマのすべてを受けての「トリ」にふさわしい、大姉御だね、もはや。最後に、ある秘密が明かされ、そういうことだったのか!となる。
1話目に出てきた犯人を演じているのが誰なのか、テレビ放送時は、最終話が始まるまで、まるで分からなかった。
声を聞くだけでは、誰なのか分からないものだと実感していた。
見終わって思い浮かべた言葉は…因果応報…
湊さんの小説は、たぶん、そうなるべくしてなるのだろうけれど、ずっしりと見ごたえのあるドラマです。
ほとんどが黒をベースにした小泉さんの衣装は、映画「黒衣の花嫁」を意識しているか?
子役は、柴田杏花(由佳=池脇千鶴の少女時代)、木村真那月(真紀=小池栄子の少女時代)、小俣絵里佳(紗英=蒼井優の少女時代)、菊池和澄(晶子=安藤サクラの少女時代)、藤井奈々香(若葉=安藤サクラの兄の奥さんの連れ子)、木村葉月(エミリ=小泉さんの娘)。
菊池和澄ちゃんは、池脇さんのほうが顔は似ている気がするけど。