バイオハザード

RESIDENT EVIL
脚本・監督 ポール・アンダーソン
出演 ミラ・ジョヴォヴィッチ  ミシェル・ロドリゲス  エリック・メビウス  ジェームズ・ピュアフォイ  マーティン・クルーズ  コリン・サーモン
音楽 マルコ・ベルトラミ  マリリン・マンソン
2002年 アメリカ・ドイツ・イギリス作品 101分
評価☆☆☆★

日本製テレビゲームから生まれた、SF・サバイバル・スリラー・アクション。
バイオハザードは、ウィルスや生物によってもたらされる危機的災害状況を意味するが、外国版のゲーム名は、映画の原題であるResident Evil(直訳だと、邪悪な居住民?) らしい。
映画はResident Evil のタイトルを取ったが、観ていたら、オープニングタイトルには、ちゃんとバイオハザード(Biohazard)の文字が出た。これは日本公開版のみの配慮であるようだ。

監督は5年前に「イベント・ホライゾン」という、面白い宇宙SFホラーを作った人。ゲームのバイオハザードはすべてプレイしたというゲーマーで、映画化に際して、日本までやって来て、バイオハザードのゲーム・クリエイターの三上真司氏と3日間も語り合ったようだ。

主演女優のミラ・ジョヴォヴィッチは、ウクライナ(旧ソ連)生まれ。女優であるロシア人の母親と、ユーゴスラビア人の医師である父親を持つという。小さいときから、モデルを経験し、ロレアルのイメージ・キャラクターやカルバン・クライン、パルコのCMにも登場した。「プラスティック・ハズ・メモリー」というバンドでボーカルとギターを担当して活動してもいる。
彼女の13歳の弟もまた、バイオハザードのファンで、彼女は弟がプレイするのを、そばでよく見ていたそうだ。

こんな2人が組んだのだから、映画を面白いものにしたい気持ちは強かっただろう。
ミラは1場面を除いて、スタントは使わなかったという話だ。(1場面って、どこだろう?)
2人の熱意は違う方向へも発展し、現在は、お互いに“ラブラブ”状態だという噂。まったくもって、うらやましい限りの監督だ。

ストーリーのほうに話を進めよう。
「ハイブ」と呼ばれる地下研究所が、ウィルスに汚染される。メインコンピューター「レッド・クイーン」は、建物を閉鎖し、有毒のハロンガスをまく。
ゾンビと化した「アンデッド」、不気味な姿を見せる「ケルベロス犬」、新しいDNAを摂取するたびに形態変化する、長い舌を持った「リッカー」(舐める者、の意味)。
事故を起こしたハイブを調査に来た特殊部隊の隊員たちに、次々に襲いかかる恐怖。

まず、コンピューターとの攻防が(というよりコンピューターの攻撃が一方的に)すごい。
もしかしたら、ここがいちばんショッキングなシーン。

やがてアンデッドが、ぞろぞろと出てきて、質より量で圧倒してくる。ウィルスによる異常な新陳代謝のせいで、食欲旺盛な、生ける屍となっているので、次から次へと襲ってくる。撃っても簡単にはやっつけられないから厄介だ。
アンデッドで埋まったところを見下ろしながら、彼らの手が届かない高い場所を伝って逃げるところなどは、ゲームの画像が容易に想像できるようなシーンだ。

びっくりさせる場面で、近くに座っている観客の反応が良すぎて、いちいち自分の座っている椅子も揺れるのが、まるで特製椅子による特殊効果のようだった。(これだけビクッとしてくれたら、作った側も本望に違いない。)

この映画、なんといっても、ミラだ。
ミラだけで、☆1つは稼いでいるぞ。
最初の登場シーンと、ラストシーンでは、体にまとう布地が少なすぎる、というサービスカットが、もれなく付いている。(歓喜、感涙)
一時的に記憶を消された状態で、窮地に立たされるという設定は、物語にアクセントを加え、彼女が演じる主人公の名前がアリスというのは、穴に落ちた「不思議の国のアリス」を思わせる。
ミラがインタビューで言っている。彼女は「不思議の国のアリス」の話の一部分をまとめて台本の表紙に書いておいたという。

自分が誰か分からないうちは私は地上には戻らない。もし自分が、私の好きな誰かだと分かったら、戻ることにする。でなかったら、私はここに残る。

というようなことらしい。

最初は自分の力に目覚めていないが、徐々にリーダーシップを発揮していく様は、戦うヒロインの魅力充分だ。そこにいるだけでも、かっこよく映える、というのは、すごく得だ。
「トゥームレイダー」のアンジェリーナ・ジョリー、「ダーク・エンジェル」(TVだけど)のジェシカ・アルバなど、戦う強き美しきヒロインのかっこよさが受けるのが、いまの時代性でもあるのだろうか。

映画のラストは、続編を予想させる。そのとおり、すでに監督はシナリオを書き始めているそうだ。
ミラは再び出演し、新たに、ジル・ヴァレンタインというキャラクター(ゲームを知っていれば泣いて喜ぶキャラらしい?)が登場する予定。

日本生まれのゲームが基になった本作。日本でのヒットは保証付きだろう。
〔2002年8月31日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕



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