小泉今日子さんが出ているから観る。
ファンの私にすれば当然である。たとえ1シーン、推定5分未満の出演であっても!
黒沢監督とは、「贖罪」の監督・主演という、つながりがあるから、友情出演のようなものだったのだろう。
息子の浩市(佐藤健)が捜し物をしに実家に来たときに出迎えて、少し会話をする。彼女は、浩市の父親ではない、新たな男性と暮らし始めているのだが、物語の大筋には関係がないのだった。
さて、物語は、昏睡状態の妻・淳美(綾瀬はるか)の意識のなかに入る(この技術をセンシングという)浩市を描いていく。
淳美は、おどろおどろしい漫画を生業にしていたので、浩市の目(意識?)にも、ときおり恐ろしいイメージが飛び込んできたりする。
怖さは黒沢監督の得意分野であろうけれど、私としては、いろんな映画で慣れているのか、それほどでもない。
かえって、浩市が車を運転するシーンで、事故に遭ったりするのではないかと、ヒヤヒヤした。
車が走り、外の景色が流れていくビジュアルが、少し普通じゃないのだ。あとから思えば、このあたりも、なるほどと納得できることだった。
中谷美紀さん演じる女医も、どこか冷たい感じで、浩市の体験を聞き出して、なにか企んでいる悪い人なんじゃないかと思ったり。
意識下で出遭う淳美以外の人間をフィロソフィカル・ゾンビというのだが、無表情でゆっくりと動き、顔が銀色っぽい(?)。
おなじみの俳優の顔が、フィロソフィカル・ゾンビを演じているのを見ると、笑いそうになってしまった。(特に、松重豊。)
途中で急展開があり、首長竜も出てくる。
あるシーンの怖さは「グエムル -漢江(ハンガン)の怪物-」を思い起こさせた。
首長竜と対決するなら、やっぱり陸の上ですね。ヒレを使って地面を進むのは大変だから。
エンディングも含め、何がリアルで何が幻想なのか、そんな雰囲気も面白いのでは?