この映像表現、すごく好きだなあ。
オープニングクレジットの文字の出し方から早くも視覚的な工夫が見られて、目を引きつけられた。
一緒にハンティングに出かけるほど仲がよかった父親を交通事故で亡くしたインディア・ストーカー(ミア・ワシコウスカ)の態度のせいもあるだろうか、はじめっから、なにか秘めたるもの、妖しいもの、不穏なものの雰囲気がしている。
ゆでたまごをゴリゴリとテーブルの上で割りつぶす、その音。
男子生徒たちに、はやされ、迫られたときの強烈な反撃。
叔父に抱かれるようにしてピアノの連弾をするときの恍惚。
ほかにも、さまざま、これは!というシーンがある。
ミア・ワシコウスカさんを直近で見たのは「永遠の僕たち」だが、本作では、ぜんぜん印象が違って、びっくり。ウィッグとコンタクトレンズで、髪と目の色を変えたのも大きいだろうけれど。
彼女の、ほかの作品もチェックしたくなった。
とつぜん現れて滞在をつづける叔父チャールズ(マシュー・グード)の存在が、インディアと、いまや未亡人となった母イヴリン(ニコール・キッドマン)に及ぼす影響…。
母娘の緊張した関係にも、どきどきする。なにしろ、私が大好きなニコール(大好きな女優が何人いるんだ?という質問については、過去の記事を全部読んでください、とお答えしておきます)、大好きなニコールが美しいばかりか、演技もうまいものだから、危険な三角関係が見ている側にもバシバシ響いてくる。
髪を梳く。この髪のアップが葦原(?)に変わっていくのも抜群のアイデア。
オープニングとエンディングの関連の見事さにも、うなった。(花の色に注目!)
韓国の映画監督パク・チャヌクがハリウッドでつくった映画。
彼の作品では「オールド・ボーイ」は見ているが、それほど好きじゃなかった。
でも、本作のような素晴らしい映像表現が、もしもあるのなら、韓国映画ももっとチェックするべきなのかもしれない。
驚いたことに、「プリズン・ブレイク」などに出演した俳優のウェントワース・ミラーがオリジナル脚本を手がけている。
原題は「STOKER(ストーカー)」で、この映画で描かれる一家の苗字だが、映画には、つきまとうほうの意味の「STALKER」の要素が多分にあって、ダブルミーニング的な示唆を含んでいるようにも思える。