ビートルズに「秘書」のような女性がいたんだなあ。
この映画で、はじめて知った。
ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインが雇った女性、フリーダ・ケリーさん。
キャヴァーンクラブで演奏するビートルズが大好きになってクラブに通い詰め、エプスタインの目に留まった。
ファンクラブの会報をつくりはじめた人であり、ビートルズ解散の少し後まで仕事についていたというから、本当に長い間、ビートルズのすぐそばで彼らを見ていたのだった。
リンゴ・スターが加入する前からビートルズファンということは、リンゴよりも「ビートルズ(に関する)歴」が長い。
メンバーたちにとどまらず、彼らの家族とも仲良くなった。
リンゴの母親にいたっては、フリーダの給料を上げなさい、とエプスタインに言ったほどで、ふたりは母娘のような関係を築いていたんだね。
映画はフリーダさんへのインタビューを中心に、ビートルズの写真や動画も出てくる。
キャヴァーンクラブでの写真は、あまり見たことがないので新鮮だった。
「マジカル・ミステリー・ツアー」は、エプスタインが亡くなったときに、ポール・マッカートニーが、今すぐ何かやんなきゃ!とメンバーに声をかけて作ったのだそうだ。みんなが、そのまま気が抜けたようになってバンドの解散危機になるのを恐れたのだろう。
フリーダさんはビートルズととても親しい関係でありながら、自慢げに吹聴することもなく、今回はじめて、記録としての映画ができた。
それは、自分の子にちゃんと話すことがないまま、その息子を亡くしてしまったことが大きな動機だったのだろう。孫には知らせておきたい、というフリーダさん。
インタビューの最後には、富も名声も、どうでもいい、生きていれば…と、亡くなった人々をしのんで涙を流す彼女に、こちらも、もらい泣き。
バックに流れる音楽は、ビートルズの歌は4曲ほどで物足りない気もするが、ビートルズがカバーした曲のオリジナルらしい歌を多数、流していたのは面白かった。
こういう歌を、ビートルズが歌ったら、ああなるんだね…と分かるから。
ビートルズが好きなら興味深く見ることができる、良い映画だと思う。
上映後、思いがけなくトークショーがあった。
萩原健太さん、本秀康さん。私は存じ上げないお二方だったが、楽しく拝聴しました。