ウォルト・ディズニーの約束

SAVING MR. BANKS
監督 ジョン・リー・ハンコック
出演 エマ・トンプソン  トム・ハンクス  コリン・ファレル  アニー・ローズ・バックリー  ポール・ジアマッティ  ジェイソン・シュワルツマン  B・J・ノヴァク  ブラッドリー・ウィットフォード  ルース・ウィルソン  メラニー・パクソン
脚本 ケリー・マーセル  スー・スミス
撮影 ジョン・シュワルツマン
編集 マーク・リヴォルシー
音楽 トーマス・ニューマン
音楽監修 マット・サリヴァン
2013年 アメリカ作品 126分
好き度☆☆☆☆


ていねいに、心のこもったドラマがつむがれていって好感。
映画「メリー・ポピンズ」は大好きだから、なおさら感動する。

ウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)が「メリー・ポピンズ」を映画化したいと、著者であるP・L・トラヴァース夫人(エマ・トンプソン)に申し入れる。
それから20年ほども経ち、ようやくのことで夫人がハリウッドにやってきた。

しかし、ミュージカル化はダメ、アニメを使うのはダメ、映画製作についての話し合いは(証拠として)録音してください、などなど、夫人の要求は厳しい。(ちなみに、エンドクレジットで、実際の録音テープの音声が聞けます。)
映画製作秘話(?)と、夫人の幼少期の父との思い出を交差させながら、話は進む。
彼女のお父さん、子どもを楽しませる想像力、ユーモアが、とっても素敵なんだけど…。

観ながら、この過去の思い出は本当なのだろうか、夫人の回想記でもあるのだろうか、と考えもしたけれど、本作で描かれたことを知ったうえで「メリー・ポピンズ」を見ると、また違った感想を持つことだろう。

作詞作曲のシャーマン兄弟が、夫人の前などで曲を披露するたびに、「あ、あの曲だ!」と、うれしくなったり泣けてきたり。
これは「メリー・ポピンズ」の映画を見ている者だけの特権。だから、できれば「メリー・ポピンズ」を先に見ておくといい
銀行の上役や、おばさんの格好が、映画「メリー・ポピンズ」の登場人物と、おんなじだー!と分かったりするのも楽しいから。

ひとつ気になったのは、ミュージカルはダメと言っていながら、シャーマン兄弟が披露していく曲に、トラヴァース夫人がずっと付き合っていたのはなぜなのか、ということ。
「しかたなしに…」というニュアンスのことは発言していたけれども、なしくずしに妥協したということだろうか。

エマ・トンプソンさんは、(嫌みなほど)気難しそうなオバサンを演じながら、その奥にある過去の記憶の悲しさをにじませて好演。

トム・ハンクスの誠実さもピタリで、童心をもった大人、をやらせたら、はまる。そういえば、大人の見かけなのに中身は子ども、という映画「ビッグ」というのもあったっけ。

でも特筆したいのは、夫人の運転手役のポール・ジアマッティ
いい役だから、なのは、もちろんだけど、私がこれまで見てきた彼の役のなかでは、いちばん好きだ。
普通の人が、一日一日を大事に、(たぶん)金持ちでもなし、心配事だってありながら、ささやかに生きていくような感じ? とても、いい。

あったかい涙があふれる、いい映画でした!
そして、「メリー・ポピンズ」を見ていない映画ファンの方、ぜひ、「メリー・ポピンズ」も見てください。




〔2014年3月29日(土) TOHOシネマズ 日本橋〕


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