TRICK トリック ‐劇場版‐

監督 堤幸彦
出演 仲間由紀恵  阿部寛  野際陽子  生瀬勝久  前原一輝  伊武雅刀  山下真司  芳本美代子  竹中直人  ベンガル  石橋蓮司  根岸季衣  川崎麻世
脚本 蒔田光治
2002年 テレビ朝日・東宝作品 119分
評価☆☆☆


おまえらのやってることは、ぜんぶ、すべて、まるっと、どこまでも、お見通しだっ! …って、誰もいないか。

友人が「TRICK」が面白いと言っていた。
テレビでパート1を放送していた頃のことである。(2000年7月〜9月。その後、続編のパート2が2002年1月〜3月に放送。)
TRICKの「K」の字だが、これは本当は、鏡文字のように引っ繰り返っている表記である。パソコンで書けない、または私が文字の出し方を知らないので、普通に書いている。
タイトルからして、トリックが仕掛けてあるわけだ。

当時、私はテレビドラマはほとんど見ていなかったので、「TRICK」も見ないでいた。
それから、ずっと後になって、夜中に偶然つけたテレビで、面白いドラマがあった。それが「TRICK2」だったのだ。
そのときは、ああ、前に教えてもらったときに見ればよかったなあ、と思ったものだ。
最近DVDをレンタルしてきて、パート1もすべて見た。かなりハマッた。

物語は、売れないマジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵)と、助教授でもある物理学者・上田次郎(阿部寛)が、霊能力者、超能力者と自称する者たちと対決し、そのトリックを暴いていく、というもの。
といっても、マジメ〜なドラマではなく、ふと脱力してしまうような笑い(これを「ゆるい笑い」と表現している場合がある)がいっぱいなのだ。

なんといっても、仲間・阿部による、山田・上田コンビのやりとりが面白い。
ボケとツッコミが入り乱れながらの、絶妙な間のある掛け合い。
下手な漫才コンビより面白い。
これが、2人に限ったことではなく、どの出演者によっても、ボケ、ツッコミ、シュールと言えなくもない小ネタのギャグ、おかしなセリフなどが実行される可能性があるから油断もスキもあったものではない。

しかも2人は、どうやら、お互いに好きなくせに、いっこうに進展していかない。このあたりも視聴者の関心を引き寄せるクセモノ技である。

この劇場版、テレビ版の画面が大きくなったようなものだ。
ゲストは少々豪華だが、中身はテレビと同じ。もとがテレビだから当然といえば当然か。時間の面でも、だいたいテレビ版は2回で1話が完結していたから、結局、映画版と同じくらいの長さだ。

映画ならではのスペシャルさが、もう少しあればよかった。
たとえば今回も、テレビ版で以前あったような、日本の田舎の村が舞台なのだが、これを外国に移すとか。
海外のマジックショーに、奈緒子がなぜか出演するなんてのもいいかな。海外ロケの予算がない…? うひゃひゃひゃひゃ。(←テレビ版を見ている人にしか分からない笑いかた小ギャグ。最初はベタに「えへへへへ」と笑っていた奈緒子であるが、いつのまにか、うひゃ笑いに発展しているのである。)

奈緒子は、ひとりつぶやきの名手でもある。
今回は、竹中直人の派手な衣装を見て、「小林幸子…」とつぶやいていたが、テレビ版でも、絶妙なつぶやきを連発していた。

トランプを使ったマジックなどの種明かしも、いくつか紹介されているので、そういう方面の興味を持って見ることもできるかもしれない。

テレビ版で楽しんできた人には、そのまま継続して楽しめるし、テレビ版を見ていなくても、それなりに「TRICK」ワールドの面白さは実感できるだろう。
ただ、必ずしも映画館で観なくてもいいかなあ、とは思う。

ちなみに、山田の「貧乳」、上田の「巨根」、矢部刑事の「ヅラ(かつら)」の各ネタ、とくにヅラネタは一般的に受けているようだが、私個人的には、それほど受けていない。「少林サッカー」のときもそうだったが、どうも私は肉体的なことを笑いのネタにされても笑えないようだ

近いうちに、テレビでの「TRICK3」を期待したい。
奈緒子のお母さんは、こどもに習字を教えているのだが、書かれた習字のなかで、「パート3希望」というのがあったしね。(これも小ギャグだね。)

で、「TRICK」の最初に流れるテーマ音楽が「サスペリア」の音楽と似てるぞ、と気がついてる人、いないのかなあ。
〔2002年11月17日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕 



映画感想/書くのは私だ へ        トップページへ