6才のボクが、大人になるまで。

BOYHOOD
脚本・監督 リチャード・リンクレイター
出演 パトリシア・アークエット  エラー・コルトレーン  ローレライ・リンクレイター  イーサン・ホーク  ゾー・グラハム  マルコ・ペレラ  スティーヴン・チェスター・プリンス
撮影 リー・ダニエル  シェーン・ケリー
編集 サンドラ・エイデアー
2014年 アメリカ作品 165分
好き度☆☆☆★


「ボク」より、ラスト近くの母親の言葉に胸を突かれた

私のように、18歳の少年より、彼の母に年齢が近い者にとっては、彼女のセリフは響いたのではないだろうか。
そして、彼女にこう言ってあげたい。
立派に生きてきたじゃないですか。(子どもも育ったことだし。)
お子さんが言うように、まだこれからです。
…人のことだと、そう言えるんだよね。たぶん、自分のことだと言えない。

本作は、同じ人物を12年にもわたって(1年につき数日?)撮りつづけて、1本の映画にまとめたもの。
ドキュメンタリーならあるかと思うが、これは脚本のある映画だ。
映画なら普通は、幼少期、子ども時代、青年時代などと、別々の人物が演じる。それを「ひとり」にして年月をかけた、アイデアと手間暇のかかった作品

脚本があって演じているとはいえ、同一人物の成長が自然に画面に出ているから、リアル感は大きい
取り上げられるシーンは断片的。それが積み重なっていく。
彼らが人生を生きていくのを、私たち観客が見守っていく感覚。
子どもたちの成長には当然、両親が関わってくるから、彼らについての描写も多い。
親の庇護のもとにある幼い頃には、どんな親であるのかが、子どもにとって避けられない重大問題であることも、よくわかる。

母親(パトリシア・アークエット)の男運の悪さときたら…脚本のせいだけど。
父親(イーサン・ホーク)は離婚して、そうなると子どもと会うにしても、そのときだけの付き合いだから基本的には気楽だ。笑えるシーンは多くが、この父の担当。

2時間を過ぎてからだろうと思うが、さすがに、まだ終わらないのか、長いな〜と思えてきた。
上映時間165分? 男の子18歳までで映画は終わるはずだから、もうすぐだろうなどと思いつつ。

終わり方はいいと思う。18歳。これから。
まさか、この後も撮りつづけて、中年、老年…なんてしないよね?

娘役、苗字がリンクレイターで、監督の実の娘さんらしい。
彼女自身、いい記念(?)になるだろうなあ。監督もそう思っていたに違いない。
リンクレイター監督には「ビフォア」シリーズがあるが、そういえば、あれだって「男女ふたり」の「○年後」の話で、今回は1本の映画にまとまっているものの、同一人物に演じさせるという基本は同じじゃないか!?




〔2014年11月16日(日) TOHOシネマズ シャンテ1〕


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