主役の子、よかったですね。
新人さんのようだけど、やりすぎず、自然なふうで、しかも存在感あり。
藤野涼子という役名を、芸名にしてデビュー。
この名前が今後ずっと、ついてくるということ。この役を大事に演じようと、なおさら思うでしょう。
落ち着いた感じも、そのうちに学級委員だとわかって納得。ああ、まさに、そうだね、と。
してみると、役柄に合っているのか、演技で合わせているのかは微妙にわからないけど、役にぴったりなのは本人にも観客にも幸せなことです。
学校側が、生徒みんなに校歌を歌わせたとき、彼女は歌っていなかった。
ごまかされて、たまるか。彼女自身の考えをしっかり持った意思の強さがうかがえた。
父親が警察官という家庭環境も、彼女の性格形成に影響したのではないか。娘を応援して学校に対抗する母親も素晴らしい。…多少、できすぎの感もあるが。
藤野さんは蒼井優さんのイメージがあって、二十数年後の彼女を尾野真千子さんが演じていたのだが、蒼井優さんは出演を依頼されなかったのだろうか!?
女の子たちが、いじめの暴力を受けるシーンは、観ていて、その酷(ひど)さに本気で怒りで泣けてきた。
でも、このいじめがあってこそのストーリー展開なので…。
いじめられる役の、石井杏奈さんと、友人の富田望生(みう)さんも、とてもいい。
大人のほうでは、石井杏奈さんの母親役、永作博美さんがいい。
自分勝手で、ほんとうは子どものことなんて、あんまり親身に考えてないんじゃないの?という母。
怪演に近い。娘とのラストシーンなんて、ふたりとも、ものすごかったね。
自殺と断定する理由が弱かったり、担任教師が何を心に抱えているのか、他校から関わってきた生徒の本心は何なのか、など疑問は後篇ですっきりすることを望む。
子どもたちの「だまって抑え込まれているのではなくて、自分たちでできることをして納得したい、真実を知りたい」というパワーは好ましく、見守りたくなる。
でも…「偽証」なんだよね…。
こんなに後篇が待ち遠しい映画も少ない。(ミステリーだから、というのもあるよね。)