ソロモンの偽証 前篇・事件

監督 成島出
出演 藤野涼子  石井杏奈  富田望生  前田航基  板垣瑞生  清水尋也  西畑澪花  望月歩  永作博美  黒木華  田畑智子  松重豊  小日向文世
原作 宮部みゆき
脚本 真辺克彦
撮影 藤澤順一
編集 三條知生
音楽 安川午朗
2015年作品 121分
好き度☆☆☆☆


主役の子、よかったですね。 
新人さんのようだけど、やりすぎず、自然なふうで、しかも存在感あり。
藤野涼子という役名を、芸名にしてデビュー。
この名前が今後ずっと、ついてくるということ。この役を大事に演じようと、なおさら思うでしょう。

落ち着いた感じも、そのうちに学級委員だとわかって納得。ああ、まさに、そうだね、と。
してみると、役柄に合っているのか、演技で合わせているのかは微妙にわからないけど、役にぴったりなのは本人にも観客にも幸せなことです。

学校側が、生徒みんなに校歌を歌わせたとき、彼女は歌っていなかった。
ごまかされて、たまるか。彼女自身の考えをしっかり持った意思の強さがうかがえた。
父親が警察官という家庭環境も、彼女の性格形成に影響したのではないか。娘を応援して学校に対抗する母親も素晴らしい。…多少、できすぎの感もあるが。

藤野さんは蒼井優さんのイメージがあって、二十数年後の彼女を尾野真千子さんが演じていたのだが、蒼井優さんは出演を依頼されなかったのだろうか!?

女の子たちが、いじめの暴力を受けるシーンは、観ていて、その酷(ひど)さに本気で怒りで泣けてきた。
でも、このいじめがあってこそのストーリー展開なので…。
いじめられる役の、石井杏奈さんと、友人の富田望生(みう)さんも、とてもいい。

大人のほうでは、石井杏奈さんの母親役、永作博美さんがいい。
自分勝手で、ほんとうは子どものことなんて、あんまり親身に考えてないんじゃないの?という母。
怪演に近い。娘とのラストシーンなんて、ふたりとも、ものすごかったね。

自殺と断定する理由が弱かったり、担任教師が何を心に抱えているのか、他校から関わってきた生徒の本心は何なのか、など疑問は後篇ですっきりすることを望む。
子どもたちの「だまって抑え込まれているのではなくて、自分たちでできることをして納得したい、真実を知りたい」というパワーは好ましく、見守りたくなる。
でも…「偽証」なんだよね…。
こんなに後篇が待ち遠しい映画も少ない。(ミステリーだから、というのもあるよね。)




〔2015年3月15日(日) イオンシネマ 大井〕


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