おとこのこが、かわいいことったら!
私はオトコは嫌いなのに、この子はヤタラメッタラかわいいなーと見ていた。
こんな息子なら、欲しい。
…と思いつつ、いま現在の写真などを見ると、それほどでもないような…。映画のマジックなのだろうか。
髪を長くしていたから、女の子っぽく見えた点はあったかもしれない。
純粋培養されて育った子どもの役といってもいいので、見かけも適役なのか。しゃべりかたも、かわいかったよねー。
私だったら、お母さんのアカデミー主演女優賞だけじゃなくて、むしろ子どものほうにこそ主演男優賞をあげたい。
5歳の役だが、実際は8歳ぐらいだったよう。違和感はなかった。
でも彼の本名が ジェイコブと知って、えー、すごくオトコな名前だなあと、少しがっかり。笑
ジェイコブというと、たぶん、もともとは宗教関係でヤコブから来ている名前でしょうか。
かわいいといっても、年くっていくと、憎たらしくなるのかな…。
でも本作の場合、この子をキャスティングした時点でほぼ成功、お母さんのブリーの気合の入った演技が加わって、より成功。
逃げ出したとき、そこに散歩中の人がいて、よかった。
担当の女性警官が頭の切れる人で、よかった。
幸運がめぐってくるか不運がめぐってくるかで、結果はまるで違うだろう。
しかし、やってみる勇気や、あきらめない気持ちが大事なのは、なににおいても言うまでもないことなんですよね。
過酷な境遇にありながら、生まれた子に言葉を教えたり、運動もさせたり、さまざまな苦労をして育ててきたのだろう母親、その母性には尊敬の念を禁じ得ない。
一方では、子どもの存在が、生きるための心のよりどころにもなっていたのではないか。
逃げだす方法が、実際には、ちょっと無理っぽいところが難点(男が確認しないわけはないだろう)だが、物語の劇的な転換点に続いていくので、まあいいか、という気にも多少はなっていく。
子どもにとっては、もういちど新たな世界に生まれ出たような経験か。
母親にとっては、世間(家族を含め、ほかの人たち)の目(口さがない反応)や、つらい過去を消化していくことが第一になるのだろう。
母のほうが対処はキツイ。
それぞれの、未来への対峙と希望。それを見ているほうも、応援しながら人生への勇気や希望を少し分けてもらえる気分に。
ただ、この子が父親のことをはっきり理解したときのことが、少し心配。まっすぐ育ってね。
母性や生きることを、観点を変えてとらえた、優秀作。