ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔

THE LORD OF THE RINGS : The Two Towers
監督 ピーター・ジャクソン
出演 ヴィゴ・モーテンセン  オーランド・ブルーム  ジョン・リス=デイビス  イアン・マッケラン  イライジャ・ウッド  ショーン・アスティン  ドミニク・モナハン  ビリー・ボイド  アンディ・サーキス  バーナード・ヒル  ミランダ・オットー  ブラッド・ダリフ  カール・アーバン  デビッド・ウェンハム  クリストファー・リー  リヴ・タイラー  ケイト・ブランシェット  ヒューゴ・ウィービング
脚本 フランシス・ウォルシュ  フィリッパ・ボーエンズ  ピーター・ジャクソン
原作 J・R・R・トールキン
撮影 アンドリュー・レスニー
音楽 ハワード・ショア
2002年 アメリカ・ニュージーランド作品 179分
オンライン批評家協会賞…作品・監督・ベストアンサンブル賞受賞
ブロードキャスト映画批評家協会賞…デジタル・アクティング・パフォーマンス賞受賞(ゴラム)
英国アカデミー賞…作品(一般投票)・衣裳・特殊効果賞受賞
アカデミー賞…音響効果・視覚効果賞受賞
評価☆☆☆★

お待たせさせられました!
約1年後の続編公開。
さて今回は、本当ならば「ロード・オブ・ザ・リング/三つの旅」とでも名づけたい。
前作で3つに分かれてしまった旅の仲間の、それぞれのその後の道程を並行して描く。

第1作を目にしたときの新鮮な驚きは、さすがに薄れてしまったが、それは仕方がないことだろう。これは「スター・ウォーズ」シリーズなどを観たときにも感じたことだ。
描かれる世界が普通っぽくないほど、たいていの場合、1作目でその目新しさに慣れてしまって、2作目以降は新鮮さが薄れることは否定できない。

だから、お馴染みになった登場人物たちが、どんな冒険をするのか、どんな新しいキャラクターが出てくるのかというところを注目すべきなのだ。
もちろん、物語がどう続いていくのかは最も重要で、興味のあるところだ。
そして、この続編は、じゅうぶんすぎるほどの及第点をゲット!である。

3部作のうちの、この第2部は、人間の王国ローハンとウルク=ハイの、砦での大攻防戦をクライマックスにする。アラゴルンたちも助っ人として大活躍だ。
ただ、見どころになるような派手な戦いの場面としては、このラストでの戦いくらいしかないので、単純に「盛り上がり」という点では、いまひとつという感もないではない。
また、前作のホビット庄やエルフ族の国などでのファンタジー色のあるシーンがなく、全体が苦難の旅、ダーク(暗く沈んでいるよう)な感じに彩られているのだ。
それが悪いというのではなく、それどころか私にとっては、それもピーター・ジャクソン監督の一面を見るようで、面白く思える。

とにかくも、1作目同様、物語世界を視覚的に構築した、雄大なスケール感と、悠然、堂々たる展開は、見事というしかない。

考えてみれば、3部作の2作目というのは、そもそも1つの物語にすれば、真ん中の部分。話が展開していくパートだから、クライマックスが少なくても仕方がないし、それを盛り上げるのは、なかなか難しいかもしれない。

今作で、新キャラとして新鮮で印象的なのが、フロドとサムの道案内になるゴラム。
フロドの伯父ビルボが指輪を持っていた前の、指輪の所有者だ。指輪の魔力に魅せられて醜い姿になり、いまでも指輪を追い求めている。
今回の物語をダークなものにしている主犯格だ。
このゴラム、アンディ・サーキスという俳優が演じて、それをすべてCGの絵に変えているのだが、これが素晴らしい。
動き、表情もすごいが、性格も複雑。
自分の中にジキルとハイドのごとく、いい人格(人といっていいのか?)と悪い人格があり、ひとり2役で会話をしているところは、まるで落語?(いや、落語どころじゃなくて、しごくマジに心の中で葛藤してるわけなんだけれどもさ)
ゴラムの素晴らしい演技は、ブロードキャスト(=放送)映画批評家協会賞で、デジタル・アクティング・パフォーマンス賞を取っている。「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」の、戦うヨーダを蹴落としての受賞だ。

CGキャラでもうひとつ注目は、話をしたり歩いたりもする木のエント族。メリーとピピンは、エント族の「木の髭」と出会う。これがまた、ゆったりのんびりしたキャラでユーモラスでもある。
ギムリ役のジョン・リス=デイビスが、木の髭の声も担当しているようだ。

今回いちばんの主役といえるのは、指輪を持っているフロドの一行というよりは、アラゴルンたちだ。
アラゴルン、レゴラス、ギムリの3人は、さらわれたメリーとピピンを助けるために後を追うが、やがてサルマンの魔の手の伸びる王国ローハンを救うために入城する。
砦での攻防戦はCGを駆使して、スケールの大きい見せ場。
1万人のウルク=ハイが砦に押し寄せ、攻め掛ける。対するローハン勢は老人から子供まで、剣を持つことのできる男すべてを合わせても、圧倒的に無勢。絶望的な戦いを強いられる。
いったい、勝ち目はあるのか。しかも、ウルク=ハイたちは、砦の弱点を知っていた…。

アラゴルンやレゴラスの強さは当然のごとく。
ギムリも強いのだが、その一方で今回の彼は、お笑い方面にも力を入れているので、ギムリ・ファンには楽しめるだろう。

とにかく、今度もしっかり観ておいて、じっと、ヤキモキと、ジリジリと、楽しみに、1年後の完結作を待つっきゃなかろう!

後で知ったのだが、ファラミア役の俳優は、「ムーラン・ルージュ」でオードリー役を演じた人だという。デビッド・ウェンハム、そうだ、その名前は覚えがある。
「ムーラン・ルージュ」では、メイクがすごすぎて、言われなければ、同じ人とは気がつかないよ
〔2003年2月15日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕



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