シン・ゴジラ

脚本・総監督 庵野秀明
監督・特技監督 樋口真嗣
准監督・特技統括 尾上克郎
出演 長谷川博己  石原さとみ  市川実日子  松尾諭  平泉成  竹野内豊  高良健吾  余貴美子  國村隼  柄本明  大杉漣
撮影 山田康介
編集 佐藤敦紀
音楽 鷺巣詩郎
2016年作品 120分
好き度☆☆☆★


ユニークでおもしろい。

未曽有の災害への政府の対応の様子が、こと細かに示される。
それぞれの方面の担当者が大勢いて、みな必死に役割を果たそうとする。
新しい登場人物がどんどん矢継ぎ早に発言していくので、目まぐるしい
ついていくのが大変だけど、おもしろい
どんな俳優が、どこで出てくるのかを見ているのも楽しい。

以下、ネタばれ。

ゴジラが初上陸したときの形態がユニーク。
はって進む生物を目にしたときは、これはゴジラじゃないと思った。
「GODZILLA ゴジラ」と同じで、ゴジラと見せかけておいて…別の生物登場なのか!?と思いましたよ。
目玉も作り物っぽくて、わざと? これ、わざとなの? と聞きたいぐらい。
「ウルトラマン」シリーズなんかの、着ぐるみ怪獣みたいなチャチさを狙ったの? とも思ったが、子どもだから形態が出来上がっていない、ということなのかも? などと、いろいろ考えた。
でも、こいつが川を進み、破壊しながら遡上していく様は、けっこう恐ろしい。実際に出会ったら恐怖。

2度目の上陸では、進路を東京に変える。
なんで、また、こっち来るんだよ!と登場人物の誰かが言ってたが、ほかにも何万人も叫んだことでしょう。
特徴的なのが、ゴジラは強烈な攻撃を受けない限り、自分からは攻撃しないこと。それも、意思をもった攻撃というよりも、防衛本能のような反射的な光線放射など、なのだ。
もちろん、街の中を進む場合はビルなどを壊していくから被害は出る。
相容れないものを、勝手に排除しようとするのは、人間のほう。
吠えることも少なく、自衛隊の攻撃をまともに受けて悠然としているのが、いかにも強くて、いい。

これはどうなの?と思ったのは、ゴジラへの最終攻撃方法。
凝固剤を注入する作戦なのだが、ポンプ車みたいなので、ゴジラの口から入れるのだ。
まず、ゴジラに無人機を攻撃させてパワーを使い切らせてから、横倒しにする。
方法としては、ビルを崩してゴジラにダメージを与えたり、無人列車を爆弾にしてぶつけたりして倒したのだが、それで絶対倒れるとは限らないし。
パワーを使わせたとはいえ、口から注入しているときに、もしもゴジラが起き出したら、おしまいだし。
神頼み。
不確定要素が大きい。
放射線の乱舞で、司令部がやられる可能性も大いにあった。
もうちょっと確実なやり方は、なかったのか。
凝固剤は飲ませる以外に方法がなかった(ミサイルなどにして撃ち込んでも硬い皮膚に歯が立たないのは実証済み)のだとしても、すごく危うい作戦だと思う。
ここで「ちょっとなー」と思ったので、好き度の星4つには行かないのであった。

でも、多国籍軍による核使用が避けられたのは、よかった。
核を使っても、もしかしたらゴジラは元気になるだけかもしれないし。それとも、(核)分裂するかのように何かの形で世界中に子孫が広がったりして。そしたら、日本はおろか、世界も終わりだったかも。

音楽が、オリジナルを使うのはいいけど、音質まで昔のままのようなのは、どうかと思う。
それは、リスペクトでもない気がするが。

オブジェのように固まって立ち尽くすゴジラの遠景に、福島の原発を思う。
下手をすれば、また災厄をもたらすかも? そこに、まだ、あるのだから。
永久に凝固を維持しつづけるだけか、これ?




〔2016年7月30日(土) イオンシネマ 大井〕


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