グリーン・デスティニー

ええ、好きです!
何がって…「グリーン・デスティニー」ですよ。

アン・リー監督の作品は、「恋人たちの食卓」「いつか晴れた日に」「アイス・ストーム」「楽園をください」と観てきました。
時代・舞台設定は様々でも、見応えのある人間ドラマを演出してきた監督という印象があります。

今回のリー監督、面白い中国古来の武侠もの(英雄時代劇)の原作をずっと懐に暖めていて、ようやく映画化できた、という感じ。
ドラマ性以上にアクションに魅せられる、アン・リー風武侠劇を楽しく観させてもらいました。
伝統のカンフーアクション、ワイヤーアクションの極め付きはこれだ!と、まざまざと見せつけてくれました。

屋根を、壁を、竹林の上を、水面を、飛ぶように走る!
私はゲームソフトで遊ばないのでよく分かりませんが、まるでゲームのような動きを実写でやっちゃってるようなものではないでしょうか。
信じられない映像に、あっけにとられます。私なんか興奮して、うれし涙を流してました。
あまりのことに笑っちゃう、という人もいるようですが、そういう人は、醒めすぎ。もうちょっと楽しく物を見たらいいと思いますよ。
ファンタジーなんだから、これでいいんです! 荒唐無稽でオッケーなんですよ!
このワイヤーアクションは「マトリックス」を指導したユエン・ウーピン。「マトリックスを超えた」という謳い文句は、この映画にこそ捧げられるべきでしょう。

そして、007でも印象的だったミシェル・ヨーと、弱冠20歳のチャン・ツィイーの女同士のカンフー対決は、絶品、圧巻です。
観てて、楽しいやら興奮するやらで、また涙が出ました。涙腺弱すぎだってば!

原題は「臥虎藏龍」。
うずくまる虎、隠れた龍、という意味だそうです。社会的外見の下では別のことが起きている、ものは見かけ通りではない、ということを示唆するらしい。
それにいちばん当てはまる登場人物が、チャン・ツィイー演じるイェン。良家の娘として嫁に行かねばならない、その心の下では、まるで違う思いが渦巻いています。それが物語の核となります。つまり、チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・チェンよりも、若いチャン・ツィイーがいちばんの主役となっているのです。
彼女、アクションも見事にこなしてましたが、とにかく可愛い! 
公開初日初回の特典か、チャンちゃんのサイン入り写真をもらえたのもラッキーさ!
私ゃ、翌日には、彼女が出てる「初恋のきた道」を観に行っちゃいました! 

音楽もよかった。タン・ドゥンという作曲家さんは国際的に活躍しているようですし、ヨーヨー・マ氏のチェロの音色は耳に心地よかったです。

日本では、ある程度お馴染みではあっても、英米の観客にとっては、今、カンフーやワイヤーワークは、すごーく新鮮でファンタスティックに見えているのではないでしょうか。
賞レースで受けているのは、映画として面白いことはもちろんですが、アクションへの新鮮な驚きがあるというタイミングの良さも手伝っているのではないかと思います。

                             〔2001年2月24日(土) 日比谷スカラ座2〕
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臥虎藏龍 CROUCHING TIGAR , HIDDEN DRAGON
監督 アン・リー
出演 チャン・ツィイー  ミシェル・ヨー  チョウ・ユンファ  チャン・チェン
撮影 ピーター・パオ
美術・衣装 ティン・イップ
音楽 タン・ドゥン
2000年 中国、アメリカ作品  120分
ゴールデングローブ賞…外国映画賞・監督賞受賞
アカデミー賞…外国語映画・撮影・作曲・美術賞受賞
英国アカデミー賞…外国語映画・監督・音楽・衣装賞受賞
香港電影金像奨…最優秀作品・最優秀監督・最優秀助演女優(チェン・ペイペイ)・最優秀撮影・最優秀アクション監督(ユエン・ウーピン)・最優秀音響効果(Eugene Gearty)・最優秀オリジナル音楽・最優秀オリジナル主題歌(「月光愛人」、 歌唱 ココ・リー)賞受賞
ロサンゼルス批評家協会賞…作品・撮影・音楽・美術賞受賞
ニューヨーク批評家協会賞…撮影賞受賞
シカゴ批評家協会賞…外国語映画・撮影・作曲・将来を約束された女優(チャン・ツィイー)賞受賞
インデペンデント・スピリット賞受賞
グラミー賞…作曲賞受賞
評価 ☆☆☆☆★