X-MEN2

X2
監督 ブライアン・シンガー
出演 パトリック・スチュアート  ヒュー・ジャックマン  イアン・マッケラン  レベッカ・ローミン=ステイモス  アラン・カミング  ファムケ・ヤンセン  ハル・ベリー  ジェームズ・マーズデン  アンナ・パキン  ブライアン・コックス  ケリー・フー  ショーン・アシュモア  アーロン・スタンフォード
原案 ブライアン・シンガー  デビッド・ヘイター  ザック・ペン
脚色 マイケル・ドハティ  ダニエル・P・ハリス
音楽 ジョン・オットマン
撮影 ニュートン・トーマス・シーゲル
編集 エリオット・グラハム  ジョン・オットマン
2003年 アメリカ作品 125分
評価☆☆☆☆

こういうの好き。
個性的なメンバーが集まって、集団で戦うヤツ。
特殊能力者の集団が戦うって言ったら、日本には「サイボーグ009」という立派なマンガがあるじゃないか? といいながら、あまり読んでないんだけど。
マンガだったら中高生のころは、望月三起也氏の「ワイルド7」が好きで、単行本を全巻買っていた。悪人を処刑する権利を持った特別なバイク警官7人が活躍するアクション。そういえば、これだって、それぞれ個性的な人間が集まって力を合わせて戦う、というのは同じではある。
(それを言ったら、ガッチャマンだってゴレンジャーだって同じか。)
私自身は、集団でつるむのは大嫌いで、ひとりで好き勝手にしてるほうがいいのだが、映画やマンガでは、集団でがんばってるものも好きなのだ。

今回は、ミュータント(突然変異体)たちの特殊能力が、とにかく楽しめる。なにしろ数えたら、そういうパワーを使えるミュータントが主なだけでも12人もいるのだ。それが、ほとんどそれぞれ違う能力を見せてくれるのだから、それだけを見ていても面白いのだ。

前作「X-メン」も映画館で観た。
それまではちっとも知らなかったのだが、アメリカのコミックのヒーロー物だということを聞いて、期待して観た。だが、思ったほどアクション・シーンがなくて、地味に感じた。
監督はブライアン・シンガー。
「ユージュアル・サスペクツ」の巧妙な語り口で観客をあっと言わせた監督だ。「ゴールデンボーイ」ではスティーブン・キングの心理サスペンスを映像化した。(そういえばイアン・マッケラン氏は、この「ゴールデンボーイ」への出演で、すでにシンガー監督とお馴染みだったわけだ。)
だから、なんとなく地味めな「X-メン」を観たときに、やはり、この監督、ストーリーテリング(語り口)が巧みな人であって、アクションはそれほど好きではないのではないかと思ったものだ。

そして一抹の不安と、もっとミュータントたちに活躍してほしいという期待混じりで観た、この続編「X-MEN2」。(前作が「メン」なのに、なぜ今度は「MEN」なのか? 前回、カップラーメンかなにかと間違われたというわけでもあるまいが? 英語のままのほうが、かっこいいとかいう程度の理由なのかな?)
監督は前回と同じ、俳優も同じ。一貫した方針を持った続編ならば、これぞ、あるべき姿だ。
今度は、先に述べたごとく、ミュータントたちの活躍をたくさん楽しむことができた。アクション度がアップしていたのだ。

みんな、それぞれに見せ場がある。
なかでも、いちばん目立った活躍をしたと思うのはミスティークだ。彼女の変身能力、これは使える。ほんとに、お役立ち。囚われの身のマグニートーの唯一の味方でもあり、活躍度は大きい。たったひとりで、悪いやつと思われている親分の味方をしつづけるというのも、けなげでいいではないか。
プロポーション抜群のミスティークを演じるレベッカ・ローミン=ステイモスはスーパーモデル出身で、ピープル誌で97年、99年の世界最高の美女50人に選ばれている美人。今作は、彼女の素顔が拝めてしまう、お得な場面もあるから最高だ。嬉しい。

続いて目立ったのはナイトクロウラー。テレポーテーション(瞬間移動)が絶対的な危機を何回も救った。今回、彼が新登場して味方についていなかったら、いったいX-MENたちは、どうなっていたことか。
演じるのは「ロミーとミッシェルの場合」「タイタス」などで記憶に残っているアラン・カミング。こちらもミスティーク同様、メイクがすごいが、いちおう本人のようだ。(笑)

Xジェット(X-MENの乗るジェット機)が空軍戦闘機に追われる場面は印象的。ストームが悪天候を呼び、何とか空軍機を振り切ろうとするのだが、空軍機はミサイルがXジェットにロックされるまで粘り、発射するとすぐに機を脱出する。パイロットが女性だったのには「へえー」と思ったけれど、それも含めて、このシーンは、なにかすごくリアルに感じられて感心したし、面白かった。
Xジェットは2発のミサイルに追尾されるのだが、今度はジーンのテレキネシス(念動力)の出番となる。このあたりの連係プレーもいいよね。

非常事態が起きて、ウルヴァリンたちが勝手にサイクロップスの車に乗ることになるのだが、これがマツダのRX-8の特別仕様。スポーツカー好きには注目だろう。日本のクルマもすごいもんだねえ。

さて、話も大詰めになってきて、ここで驚くべき出来事が出来してしまう。意味はないが、なんとなく、出来(しゅったい)という、いかめしい(?)言葉を使いたいほどの大事件なのだ。
観ていて、えっ、そんな、そんなことっ! ウソだろ、ウソだろ? いやな予感がっ! と思ううちに、それは起きてしまった。
パート3があるのなら(ありそうに思うが)、願わくば、白紙に戻してほしい。なんとかしてほしい。頼むからさあっ。
と嘆いていたのだが、あとで調べてみると、原作では、メンバー構成にいろんなパターンがあったり、死んだり行方不明だと思ったら復活したりと、いろいろごちゃごちゃやってるらしいので、続編があったら、なんとかしてくれるのかもしれない。
映画はリアルに徹しているので、ちゃんとした理由が必要ではあろうけれど。

そう、この映画版X-MENシリーズは、リアルなのだ。ミュータントというもの自体は、かなり現実味がないと言ってもいいと思うが、その現実味のない設定の上で構築した物語は、徹底的にリアルなのだ。真面目なのだ。
ストーリーがしっかりしている。しっかりしすぎて、ちょっとややこしいんじゃないかという気もしないでもないが。やっぱりシンガー監督は、ドラマを語るのが好きなのだな。
サム・ライミ監督が作った、同じアメコミ・ヒーローの「スパイダーマン」の、気持ちいいほど娯楽に徹した作りと比べてみれば、その雰囲気の違いが分かるのではないか。

さあ、X-MEN3も(やると思うが)、リアルに真面目に、ミュータントたちの特殊能力全開の大活躍で楽しませてもらいたい。もちろん、これまでと同じ監督と俳優陣で。そして新しいミュータントも加えて。期待してます、シンガー監督!

調べたのを忘れないように、登場人物(登場ミュータント?)のコードネーム?と本名、演じた俳優名、得意技を書き留めておこう。

プロフェッサーX(チャールズ・フランシス・エグゼビア教授)/パトリック・スチュアート…人の心の中が読める能力(テレパシー)を持つ。相手の意思を操作したり記憶を消したりすることもできる。
ウルヴァリン(ローガン)/ヒュー・ジャックマン…驚異的な治癒能力を持つ。鋭い五感がある。体内に埋め込まれた金属アダマンチウム製の巨大な爪が武器。
サイクロップス(スコット・サマーズ)/ジェームズ・マーズデン…両目から破壊光線オプティック・ブラストを放射する。幼児期の事故による脳の損傷で能力を制御できず、サングラスやバイザーをつけて放射を抑えている。
ジーン・グレイ/ファムケ・ヤンセン…意思の力で物を動かす能力(念動力=テレキネシス)がある。テレパシーも使える。
ストーム(オロロ・マンロー)/ハル・ベリー…雷や嵐などの天候や気象を自由に操る。母はケニアの一部族の王女であり巫女だった。
マグニートー(エリック・マグナス・レンシャー)/イアン・マッケラン…磁場を生み出し、金属を自在に操る。
ミスティーク(レイヴン・ダークホルム)/レベッカ・ローミン=ステイモス…触れた物や、見た人間に変身できる。格闘技にも優れる。
ローグ(マリー・ダンキャント)/アンナ・パキン…触れた相手の生命力、能力、記憶を吸収し、自分の力とする。
アイスマン(ボビー・ドレイク)/ショーン・アシュモア…物を凍らせたり、氷を作り出すことができる。
パイロ(ジョン・アラダイス)/アーロン・スタンフォード…火を自由に操る。
ナイトクロウラー(カート・ワグナー)/アラン・カミング…瞬間移動(テレポーテーション)ができる。他人であっても抱きついていれば同時に瞬間移動させることができる。
レディ・デスストライク(ユリコ・オオヤマ)/ケリー・フー…ウルヴァリンと同様。

〔2003年5月3日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕



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