「なにがあっても、このボタン、押すんじゃないぞ。さあ、復唱してみるんだ」
「アイ・アム・ボー」
「うむ」
「アイ・アム・ボー？」
「うん」
「アイ・アム・ボー！」
「ノー！ なんてこった！ グルートじゃないってか！？ 棒？」
「あの、すいません。ボーと申しますが、映画の話を聞きたいのですけど」
「うーん、オレさまが泥棒したから、こんな騒ぎになって、どうしてくれるって話だろ」
「何も言ってませんが」
「銀河の守護者の仕事は、考えてみりゃ、最初だけだったな、この映画」
「オープニングロールで、グルートだけを追うカメラワークの後ろで、みんな戦ってるのが、おっしゃれーな構図ですよね」
「あとは、あれだな、結局、クイルのルーツ探しの旅みたいなもんだ」
「ロケットさんのルーツって、アライグマなんですか？ 親はどこかに？」
「アライグマと呼ぶな！ おまえをボーと呼んじゃうぞ」
「…いいですよ。今回登場の新キャラも、見事にキャラ立ちしてますよねえ」
「オレに比べれば、たいしたことないがな」
「ちょこまかとクスクス笑えるし、楽しいし、しかも泣けます！ そりゃないでしょ、反則ですよ」
「そういうのは、監督に言ってくれ」
「宇宙活劇は何でもできるから、どんどん、おもしろいことを突っ込んできます。エンドロールに、また、ちょこまかと次作の前振りみたいなのを挟んで、もう、次、楽しみっすね！」
「オレが心配なのは、グルートがグレるんじゃないかってことだ。ちらっと映ってただろ」
「それは、ロケットさんの教育にかかっていると思います！ グルートがグレートる、ってシャレにならないですよ」
「グレたら、グレータと名前を変えよう。グレーテルでもいいな」
「なんか、違う話の人物みたいです」
「で、何を聞きたいんだ？」
「あ、もう終わりです」
「やっちまった…てか、終わるの早くねえか？」
「いえ、２時間１６分はあります」