マトリックス リローデッド

THE MATRIX RELOADED
脚本・監督 アンディ・ウォシャウスキー  ラリー・ウォシャウスキー
出演 キアヌ・リーブス  キャリー=アン・モス  ローレンス・フィッシュバーン  ヒューゴ・ウィービング  ジェイダ・ピンケット=スミス  モニカ・ベルッチ  ハロルド・ペリノーJr.  ハリー・J・レニックス  マット・マッコーム  ランベール・ウィルソン  ランダル・ダク・キム
撮影 ビル・ポープ
音楽 ドン・デイビス
編集 ザック・ステンバーグ
美術 オーウェン・パターソン
カンフー指導 イエン・ウーピン
2003年 アメリカ作品 138分
評価☆☆☆

matrixとは、コンピュータ用語では入力導線と出力導線の回路網のこと。(オープニングでカタカナなどが裏返ったりしている文字が流れるのは、これ?)
そして俗に、コンピュータネットワーク上に形成された仮想空間のことを指す。サイバースペース、電脳空間は同じ意味だ。
reloadは、再び荷を積む、再び(弾薬を)込める、コンピュータをリロードする、という意味。
つまり原題は、簡単に言えば「マトリックス世界、再び」ということか。(簡単にしすぎだって?)
何が「再び」なのか、それは映画を観たら分かること。続編という意味だけではないのだよ。

じつは、映画館には「X-MEN2」を観に来たのである。そうしたら、「リローデッド」の先先行ロードショーをやっているのを知った。
300円引きになるマイカルカード割引が使えない特別興行だし、どうしようかと少し迷った。
だが、話題の映画を早く観てみたいという欲求に負けて、チケットを買った。
買ってみると、これが「X-MEN2」と同じスクリーンでの上映だ。つまり、「X-MEN2」「リローデッド」と続けて同じスクリーンで観ることになったのだ。
ワーナー・マイカル・シネマズは、スクリーンを複数持ち、多くの映画を同時上映する、いわゆるシネコン(シネマ・コンプレックス)だ。だから、2本目に観る映画が違うスクリーンになっても、ちっとも不思議ではないわけなのに、同じスクリーンになった。
まるで、ひとつの映画館に2本立てを観に来たみたいで面白い気分だった。

さて、そんなことより観た結果ですか。
それは…「うーん」である。
カンフー中心のアクションや、カーチェイスプラスアルファの高速道路でのアクションは、たしかにすごい。アクションの続く時間も長い
最先端の特撮技術をふんだんに使って、驚異的な映像を作り出している。
プロデューサーか誰かが、他の映画にはマネできない、とか豪語したらしいが、そりゃ、簡単にはマネできないだろう。時間もカネも必要だろうし。

見せ場のひとつに、復活したエージェント・スミスが自分のコピーをたくさん作って100人くらいでネオに襲いかかる場面がある。
ぞろぞろと、同じ姿かたちの人間が出てくるのには、思わず笑ってしまう
本人とクローンの2人くらいが登場するのならば、これまでの映画でも時には観ることがあった。それが100人も出てきた日には、やっぱり笑っちゃうでしょ。
ネオとエージェント・スミスの間で、カンフー対決が始まるわけだが、観ていても、相手に致命的なダメージを与えるような殴り合い蹴りあいという感じがないから、キリがない。
それがエージェント・スミスなんかは100人いるから、もっとキリがない。いったい、いつ終わるのか。
あのう…スミスさん、ここで拳銃を使ったりすれば、簡単に決着がつくのではないでしょうか。持ってないのですか…。それとも遊んでるのでしょうか…。
この戦いは、私がネオでもそうするだろうなあ、という、ちょっと卑怯っぽい方法で決着した。その後のスミスさんの反応が、また笑える。

もうひとつ、大きなアクションは、何メートルか何キロか知らないが、高速道路を作ってしまって撮影したという場面。
キーメイカーなる重要人物(これが東洋系のさえない見かけのおじさん、というのも作り手の遊びか)をクルマに乗せて逃げるモーフィアスとトリニティ。
車中に入りこんできた敵との、狭い空間での動きの限られた格闘は、ちょっと珍しくて面白かった。
カークラッシュはもちろん、トリニティがバイクで激走するシーンもあり、スピード感と迫力は、なかなかのもの。

終盤では、1作目と逆パターンの「愛は勝つ」をやってくれた。このあたりの遊び心は、とてもいい。

ただ、それ以外のドラマの部分が、あまり楽しめない。眠気が襲ってきた。「X-MEN2」を観たあとで、すぐの観賞なので疲れて眠いのかとも思ったが、面白かったら眠くはならないだろう。
ザイオンの民たちが踊る場面と、トリニティとネオのラブシーンが交互に映されるところなどは、観ていて陳腐に思えて「あーあ」と心の中で言ってしまった。
予言者の言葉や、それに伴って出てくる謎について話す台詞が、やたらに哲学的というのか、分かりにくいところがある。字幕を読んでいて、意味がとれずに考えてしまうこともあった。そのうち、話はとっとと進んでしまって、考えるどころではなくなる。

どうも、私はこの映画では、最近よく起きる「続編飽きた病」が発症したようだ。
モニカ・ベルッチが新登場していても、そこはそれだけの違いでしかなく、全体のことをいえば、飽きたという気分があった。1作目と比べて目新しいことないじゃん、という感じ。もう1回観たら印象が違うかもしれないとも思うが、初見では、とにかく、なんとなく飽きていた。

終わり方も、まさに第3部完結編に続く、という感じで、中途半端。連ドラの「次週を待て!」のようだった。
字幕まで「次回完結」なんて出すので、またまた笑ってしまう。笑うとこじゃないのに。
11月公開の「マトリックス レボリューションズ」がどうなるのか、期待はしておきましょう。

ただし、映画は観る人によって受け取り方が違うもの。すごく面白いよ、と言う人もいる。そんなに参考にしないと思うけれど、これを読んで、たいしたことないのか、と思って観ないなんてことはしないようにね。

「レボリューションズ」の予告編がラストにある。長いエンドクレジットが終わった後なので、あー、終わった終わった、と思って、さっと席を立って帰るのが恒例の人は要注意。まあ、観たくない人は、かまわないけど。
ワーナー・マイカル・シネマズ大井は、上映前に、予告編の存在を放送で教えてくれた。ホームページの予定表にもちゃんと、最後に予告編ありと書いてある。なかなか親切だ。

ところで、モーフィアスの船ネブカドネザル号の新しいメンバー、リンク役のハロルド・ペリノーJr.は、「ウーマン・オン・トップ」で女装してた人だと分かった。これが今回いちばんのビックリ!なのであった。

いま(6月6日)、テレビで「マトリックス」を放送しているが、こちらのほうが、よほどすっきりしていて面白い

もしも「リローデッド」を再見して、印象が変わったら、また書き足すかもしれません。
〔2003年5月24日(土) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕



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