アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル

I , TONYA
監督 クレイグ・ギレスピー
出演 マーゴット・ロビー  アリソン・ジャネイ  ジュリアンヌ・ニコルソン  ケイトリン・カーヴァー  マッケナ・グレイス  セバスチャン・スタン  ボビー・カナヴェイル  ポール・ウォルター・ハウザー  ボヤナ・ノヴァコヴィッチ
脚本 スティーヴン・ロジャーズ
撮影 ニコラス・カラカトサニス
編集 タチアナ・S・リーゲル
音楽 ピーター・ナシェル
2017年 アメリカ作品 120分
好き度☆☆☆★


「好きです! 」

「…え?」

マーゴットさんが好きです! だから、映画観ました!」

「あ、ありがとうございます」

「スケーティングも素晴らしかった、演技も素晴らしかった! もう、オリンピックに出られますね!?」

「えーと、ちょっと映像的に工夫もしてあるので、それほどでも…」

「いえいえ、そんな! いーんです! もう、きれいなんだからっ」

「ありがとうございます。でもオリンピックはね」

「あのお母さんが、娘の性格に影響を及ぼしているんでしょうね。にしても、男運が悪い。いっそ私はどうですかっ」

「役柄と実際のわたしが、ごっちゃになってません?」

「いーんです。時間稼ぎでボールを回したって、勝ち進めばいいんです」

「え、話が見えないんですけど」

「トーニャは悪くない! 映画を観るかぎり、悪いのはボディガードじゃないですか。なんなんですか、あのタワケはっ。あ、でも、トーニャは脅迫状は同意したから、ちょっとは悪いですよね。でも私がその罪もかぶりますから、彼氏にしてください」

「えーと、だから、なんか混同してないですか」

「映画ではああなってましたけど、真実そのものかどうかはわかりません。こっそり、ほんとのことを教えてください。それで彼氏にしてください」

「でも、ボーさんには、ほかの彼女がいるんじゃないですか。今年の4月1日のブログ記事にありましたよ。なんなら、毎年4月1日にも」

「あ、読まれていましたか? まあ、それは置いて」

「置くんですかっ」

「トーニャ・ハーディングさん、ブロンド美人系だったせいか、当時けっこう気になっていたんです。ナンシー・ケリガン襲撃事件のことは名称だけしか知りませんでした。今回の映画で中身を知って、知識を得た気分です。そのうち忘れると思いますが」

「それじゃだめじゃん。忘れないでください」

「善処します。…どうやればいいのかわかりませんが。しかし、マーゴットさんはトーニャを演じるのにピッタリでした。外見からしても。ブロンド美人。副題に、史上最大のスキャンダルってありますが、それはオーバーです。誇大広告です」

「そうですよねえ。オリンピックの大舞台に関連しちゃったということはありますけど」

「鏡を前にしたときの表情が、すごかった。演技してるなあ!って」

「ほめてます?」

「もちろん! これぞ女優だ! マーゴットだ! 私の彼女だ!」

「もしもし? ハロー?」

「あなたのスケートは、ちがった、あなたの映画はこれからも追いかけます。なるべく」

「なるべくかいっ」




〔2018年6月24日(日) シネ・リーブル池袋〕


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