パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち

PIRATES OF THE CARIBBEAN −CURSE OF THE BLACK PEARL -
監督 ゴア・ヴァ−ビンスキー
出演 ジョニ−・デップ  ジェフリー・ラッシュ  オーランド・ブルーム  キーラ・ナイトレイ  ジャック・ダベンポート  ジョナサン・プライス
撮影 ダリウス・ウォルスキー
音楽 クラウス・バデルト
2003年 アメリカ作品 143分
英国アカデミー賞…メイク&ヘア賞(ヴェ・ネイル、マーティン・サミュエル)
評価☆☆☆★

アイ・アム・ア・モンキー。おっと、ここは日本の人が読んでいるんだから、日本語にしないといけないね。だいじょうぶ、得意だから。
わがはいは猿である。
…どう、ばっちりでしょ。
ぼくの名前はジャック。あ、ジャック・スパロウって海賊がいたけど、それとは違うからね。飼い主が同じ名前をつけちゃったんだよね。飼い主は、海賊船長のバルボッサ。船長の肩に乗ったりしてた、小さい愛玩用の猿だよ。

いやあ、今回は大騒ぎだったね。海賊船に乗ってるんだから、いつも大騒ぎといえばそうなんだけど、何しろ今度は船を乗っ取ったり、お互いに入り乱れての、てんやわんや(よく、こんな日本語知ってるでしょ)だった。

ブラックパール号に乗ってた者は、とってもヤバイことになってたんだ。どんなヤバイことかって? それは映画観たら分かるよ。ネタばれはしないよ。
じつはBJさんにネタばれしないで書けよって言われてるんだ。ちゃんとやったらバナナくれるっていうんだけど、猿だからってバナナで釣ろうだなんて、単純だよなあ。だいたい、バナナ1本で自分は書かずにラクしようなんてさあ。そうは言っても、ぼくもバナナは好きだから、がんばっちゃおう。結局、どっちも単純だってことなのかな?
えーと、それで、海賊どもは、船を襲うわ、町を襲うわ、いろいろやって、ある物を必死で探しまくってたわけ。まあ、探し物がなくたって、襲うことはしたんだろうけど。海賊だから。

ところがさ、ジャック・スパロウが、そこに絡んできたもんだから、話がややこしくなっちゃった。
こいつが、イカレた野郎でさ、とぼけてるんだか、てきとーなんだか、きっと暑さで頭がやられてるんじゃないかとも思うんだけど、なんていうか、ファンキーなんだよね。
ファンキーっていっても、それがどんなもんだか、いまいち、よく分からないけどさ。そんなイメージってこと。
しっかりしてるようには、とても見えないんだけど、瀬戸際で強いっていうか、タフなんだよね。かなりラッキーも入ってると思うけどさ、悪運が強いってやつ。

ジャック(ぼくじゃなくて、スパロウのほうね)って、やっぱり海賊の船長やってたヤツなんだけど、おとぼけのギャグもかまして面白いよ。
女に殴られて、顔が後ろ向きになるパターンが、いっつもおんなじ。狙ってわざとやってるわけなんだけど、おかしくて笑っちゃうよ。え、なんで殴られた現場にいない猿が知ってるのかって? …映画観たのさ。
最後のほうで、ウィル・ターナーの髪の毛がジャック(ぼくじゃないよ)の目の前に来て、前が見えないよー、とばかりに手をバタバタさせてた細かいギャグも受けたなあ。
ああいうトボケたの、大好きなんだ。

どうも、ジャック(ぼくじゃなくて、あ、しつこい?)を演ってるジョニー・デップという俳優は、ローリング・ストーンズっていうロックバンドのギタリスト、キース・リチャーズのイメージなどをヒントにして役作りをしたらしいんだ。
ちょっとフラフラしてラリってるみたいで、ちょっと不良っぽいけど、カッコいいって感じ?
女に殴られてるから、多少は問題もあるんだろうけど、見かけは悪くないし、チャンバラやったら、なかなか強いし、女がおぼれりゃ格好よく助けるしで、こりゃあ、もてないわけがないと思うよ。ま、ぼくのほうがもてるけどね。ふだんは猿の女の子が近くにいないだけであって、ジャングルなんか行ったら、女の子に囲まれて身動きできないほどだよ。

ジョニー・デップってさ、すごいよね。「シザーハンズ」とか「エド・ウッド」「スリーピー・ホロウ」なんていう、ティム・バートン監督と組んだ映画は、個性的な監督の作風のなかで、負けずにしっかりと主役を張ってるし、かと思えば「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」、これはどっちもラッセ・ハルストレム監督だけど、情感あふれる人間ドラマにも出るし。
一癖ある作品を好むような俳優が、今回は、自分の子どもが喜ぶからって、海賊を演じたんだっていう話だよ。誰でも、可愛い子どもには勝てないんだね。
その子に両親の仕事はなあに?って聞くと、「お母さんは歌手で、お父さんは海賊」って言うんだって。可愛いよねー。
お母さんは14歳で歌手デビューしてアイドルになって、「橋の上の娘」という映画などにも出ている、バネッサ・パラディさんだよ。

ガイコツたちのチャンバラも楽しいね。ガイコツのチャンバラというと、すぐに「アルゴ探検隊の大冒険」を思い出しちゃうけど、今度は人数も多いし、技術も進歩してるしで素晴らしいよ。
ガイコツは死なないんだから、戦う相手は大変さ。でも、ガイコツにはガイコツなりの悩みがあって、その悩みを解消するために日夜奮闘してるわけだから、少しは理解してやってほしいんだ。無理?

ぼくの主人のバルボッサは、ジェフリー・ラッシュという人が、とっても楽しそうに演じてた。やっぱり海賊の船長役って、楽しいんだろうな。子どもだって、オレは海賊の船長だー!なんて気分よくその気になって遊んだりするよね。それと一緒だよ、きっと。しかも、その肉体は、不…おっと、いけない。ネタばれしちゃう。いまの、聞かなかったことにしてよ。

お嬢さま役はキーラ・ナイトレイという娘で、まだ、ずいぶん若いらしい。え、18歳なの?
「スター・ウォーズ エピソード1」の侍女役や、「穴」「ベッカムに恋して」(この2つは観てないな)で注目されてきたんだって。今回は海賊たちに混じって、男勝りの活躍を見せていたよ。これまでにも増して注目度の高い映画に出られたから、これから、もっと出てくるかもしれない若手女優さんだね。

ん? オーランド・ブルーム? うーん、興味ない。ぼく、男だし。
てか、役柄も、普通の正義感に燃える二枚目で、とりたてて、どうってことがなくて…。そういう役をきっちり演ってるのは立派だけどさ。

全体的に、ディズニー映画だなー、って感じ?
よく出来た、家族揃って安心して楽しめる、血湧き肉躍る冒険アクション。
夏休みに、みんなでどうぞ、ってもんだね。でも、子どもには、ちょっと長いかなあ。2時間23分でしょ。子どもの集中できる時間をオーバーしてない?

できたら、続編やってほしいよ。だって、ぼくが、どうなるか興味ない?
あ、エンドロール始まったら、帰っちゃったんだ?
だめだよー。その後に、ぼくが主役のシーンがあったんだから! ちゃんと最後まで観てないと!
だから監督に、あのシーンをエンドロールの前に入れてって頼んだのにー。

そういうわけで、いま、ぼくの体は、不…おっと、口にチャック。
続編があったら、また会おうね!

…BJさーん、バナナちょうだい!
〔2003年8月31日(日) ワーナー・マイカル・シネマズ 大井〕



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