楽園をください

この評は、前から細々と書いてたのさ。でも、うまく出来ずに放っといたのさ。
それももったいないから、いさぎよく、さらけだすことにいたそう。(そういう問題か?)

アン・リー監督が、英米で受けまくりの「グリーン・デスティニー」の前に作ったのが「楽園をください」である。
舞台は、南北戦争時のアメリカ南部・ミズーリ州。南軍の正規軍に加わらず、ゲリラ軍として北軍と戦った若者たちを描く。
南北戦争において、ゲリラ部隊があったなんて知らなかった。こういう歴史の知識を得られるのも映画の良さのひとつである。
いろんなことを、歴史の勉強からではなく、映画から知ってきた気がする。

この映画の魅力は、まず何といっても、旬の若手俳優たちを揃えたことだろう。
トビー・マグワイア(なんか、出てくると、ほのぼのしてしまう顔。「カラー・オブ・ハート」「サイダーハウス・ルール」は私にとっては名作といっていい)、
スキート・ウーリッチ(「スクリーム」でご存じのかたが多いだろうか。「アルビノ・アリゲーター」「ニュートン・ボーイズ」の印象も強い)、
ジェフリー・ライト(「バスキア」に出演。残念ながら観ていない…)、
ジョナサン・リース・マイヤーズ(「ベルベット・ゴールドマイン」「タイタス」。ほんと、妖しいヤツ…)、
ジム・カヴィーゼル(「シン・レッド・ライン」「オーロラの彼方へ」で表舞台に出てきました)、
そして紅一点は、ジュエル(名の通った女性シンガーだったんですね。最初は何この簡単な名前は?なんて思った。恥ずかしながら知らなかったんだい。これが映画デビュー。ラストクレジットで歌ってます)

トビーの、ほのぼの風味は、いつもどおりであるが、長髪と無精ひげ姿が珍しかった。スキートの好青年ぶり、ジェフリーの芯の強さを感じさせる抑えた味、ほんのちょい出演だがジョナサンの卑怯ぶり(笑)と冷酷さ、ジュエルの映画初出演とは思えない自然さなど、それぞれのキャラクターが平板にならず特徴を感じさせる。

映画の前半はゲリラ戦の日々を、後半はドイツ系の移民役のトビーと元奴隷役のジェフリーを中心にして、異邦人(アウトサイダー)ともいえる彼らの目から、アメリカのひとつの歴史の汚点(ローレンスの大虐殺)を見つめる。そして新しい生活への旅立ち。

偶然に、戦争の時代に生きた若者が、いかに、それに巻き込まれざるを得ないのか、そして、それをどう生きるのか、どう抜けていくのか、の一例を見せてくれる、いい映画だと思う。

                         〔2001年2月10日(土) シャンテ シネ2〕
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RIDE WITH THE DEVIL
監督 アン・リー
主演 トビー・マグワイア  ジェフリー・ライト  ジュエル  スキート・ウーリッチ  ジョナサン・リース・マイヤーズ  ジム・カヴィーゼル
1999年 アメリカ作品  138分
評価 ☆☆☆★